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甘く見たらだめ!高齢者の誤嚥リスクと予防法まとめ

家族を介護中
家族を介護中
誤嚥って咳き込むから苦しいのはわかるけど死に繋がるなんてさすがに大げさじゃない?
管理栄養士
管理栄養士
いえいえ!!!
誤嚥は窒息、肺炎を起こすとっても危険なことなんですよ。
家族を介護中
家族を介護中
最近、新型コロナウイルスによって「肺炎」も死に繋がる危険なイメージってのはなんとなく感じるかな。
管理栄養士
管理栄養士
確かにそうですね。
新型コロナウイルスによる肺炎も、誤嚥性肺炎も、とにかく高齢者が「肺炎」を起こすとっても危険なことなんですよ。

 

今回は高齢者の「誤嚥」の怖さと予防法管理栄養士がわかりやすく解説します!

管理栄養士
管理栄養士
誤嚥の怖さを知って予防しよう!

はじめに

「誤嚥」という言葉。
高齢者に対して使う場合は特に大きな問題として取り扱います。
誤嚥が原因で起こる死に繋がるリスクは大きく2つあります。

「窒息」「誤嚥性肺炎」です。

高齢者の肺炎の約7割はこの誤嚥性肺炎というデータもあります。
肺炎は減少傾向にあるものの未だに、日本人の死因の第5位です。
誤嚥がどれだけ危険なことかわかると思います。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/dl/gaikyou30-190626.pdf出典:厚生労働省

 

誤嚥の種類

誤嚥には起きるタイミングによって嚥下前、嚥下中、嚥下後の違いがあります。

高齢者の誤嚥は、食事を飲み込む際に液体などが瞬間的に気道に入り込む嚥下後の場合が多いのが特徴です。

                                         出典:栄養指導Navi

誤嚥が起きると

通常は食事中に、誤嚥するとむせ込んだり、咳をするので気づくことができます。

誤嚥によって起こる危険の第一は窒息
窒息は死に直結するリスクです。

お正月にお餅を喉に詰まらせるニュースが報じられますが、実際には年間を通して約7000人もの人が窒息で命を落としていて、そのほとんどが高齢者だと言われています。

▼こちらの記事で「お餅の誤嚥・窒息事故の怖さと予防法」をご紹介しています▼
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本来、口から食道に入るべき食べ物が気管に入り込むことによって窒息を起こします。
高齢になり、喉の力が低下してくると窒息のリスクが高くなります。

誤嚥してもむせなかったり呼吸にあまり変化が起こらない「不顕性誤嚥」というパターンもあるんです!

この誤嚥して気管に入り込んでしまった食べ物を排出できず、結果として肺炎を起こすことを「誤嚥性肺炎」と呼びます。

管理栄養士
管理栄養士
不顕性誤嚥の場合には肺炎が起こるまで気づけない場合もあるので非常に怖いですよね。
誤嚥性肺炎になると以下のような典型的な症状があります。
誤嚥性肺炎の典型的な症状

◻︎発熱
◻︎咳や痰(黄色い膿状)
◻︎呼吸が苦しい

しかし、これらの症状がなくても

◻︎なんとなく元気がない
◻︎食欲がない
◻︎のどがゴロゴロとなる
◻︎失禁

一見、肺炎には関係ないように思える症状がみられることが多いのも誤嚥性肺炎の特徴です。
気になることがあれば、必ずかかりつけの医師に相談してみましょう。

誤嚥しやすいたべものと調理の工夫

飲み込む(嚥下)機能が低下している人は次のような食べ物で誤嚥を起こしやすいです。

                                        出典:栄養指導Navi

▼水気の少ないパサパサ・ポロポロしたもの
そぼろ・パン・カステラ・クッキー・ゆで卵など
▼さらさらした液状のもの
水・お茶・ジュース
▼口の中にはりつきやすいもの
のり・わかめ・もち・だんご・食パン・練り製品
▼噛みきりにくいもの
いか・たこ・貝類・海草類・乾物類・きのこ類・こんにゃく・ごぼう
▼つるっとのどごしがよいもの
ゼリー・こんにゃく・ところてん
▼酸味の強いもの
お酢を使った料理・酸味の強い果物

誤嚥を予防するには以上のような食材の利用はなるべく避けること、嚥下(飲み込み)しやすい食品を選ぶことが大切です。

飲み込みやすい食事とは以下のようなものです。

▽適切な粘度でとろみがついているもの
かたくり粉や市販のとろみ調整剤を使用した物やゼリータイプの飲料
※粘度が強すぎると逆にのみ込みにくくなります。
▽食べた時は塊状で、硬すぎず変形しやすいもの
プリン・卵豆腐・ゼリー・ソフト食

                                         出典:栄養指導Navi

誤嚥を予防する方法

嚥下体操を行う

食事前に準備体操として行ったり、基礎訓練として日常的に行ったりすることで、食べるために必要な筋肉を動かし口のまわりの運動や感覚機能を促して誤嚥を予防することができる体操です。

管理栄養士
管理栄養士
岐阜県のある病院では、体操を始めて数日で効果が現れた患者さんもいて、1〜2カ月後には嚥下体操を実施した全員が嚥下機能の維持もしくは改善していたそうです。
とろみ剤がいらなくなる程改善した方もいたんですって!

嚥下体操のやり方

よく知られている方法としては次の 1 ~10 を1セットとして実施します。

1、口すぼめ深呼吸
おなかに手をあてて、おなかが膨らむように鼻から吸って、おなかがへこむようにゆっくり口から吐く(口を少しすぼめてローソクを吹き消すようにする)腹式呼吸を数回繰り返す
2、首をゆっくりまわす
3、肩を上下にうごかす
4、両手を頭上で組んで上半身をゆっくり左右にゆらす
5、頬を膨らませたり引っ込めたりする。
6、舌を前後に出し入れする
7、舌で左右の口角にさわる。
8、強く息を吸い込む
9、パ,タ,カの発音訓練
「パパパ、タタタ、カカカカ」とゆっくり言う
10、口すぼめ深呼吸 (1と同様)

*頸椎症など頸部の疾患がある場合は首の回旋運動を控えてください。
めまいなどの症状に注意して下さい。
参考文献(日本摂食嚥下リハビリテーション学会 訓練法のまとめ より)

状態にあったお食事を食べる

前述の誤嚥を起こしやすい食べ物は避けて、水毛の強いサラサラしたものにはとろみ付ける
口の中でバラバラになるような細かい食品もまとまりのあるように調理しましょう。

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食事の姿勢を整える

正しい食事姿勢も、誤嚥を防ぐためには重要です。

椅子に座って食べる場合

椅子に深く座り、テーブルはひじが置けるくらいの高さを目安にする。
□足を床につける。
□背筋を伸ばして少し前かがみになる。
*必要であれば、背中や後頭部などに、クッションや座布団、バスタオルを入れて身体を安定させる。
□椅子とテーブルの距離は近づける。

                                         出典:栄養指導Navi

ベッド上で横になって食べる場合

□ベッドの角度を調整する。
自分で食べられる場合テーブルと垂直になるようにベッドを約90度の角度まで上げる。
介助が必要な場合は、ベッドを約60度くらいにする。
□後頭部に枕やクッションを当てて顎を引く姿勢にする。

 

どちらの場合も顎を引いて一口の量(小さじ1杯程度)に注意しながらあげましょう。
スプーンは口の中にまっすぐ入れ、まっすぐ引き出しましょう。

会話を楽しみながらと食べたいところですが、食事中にしゃべることでむせてしまう場合があるので、食事に集中できる環境づくりも大切です。

介助する方はお口に運ぶお料理について説明しながら運んであげると良いです。(ミキサー食やソフト食だと何を食べているかイメージしやすいように)

1口あげるたびにお口の中が空になったことを確認して、詰め込みすぎないようにしましょう。介助する際には食べる人の目線に合わせた高さで介助してください。

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口腔ケア

加齢とともに唾液の分泌量が低下してくるとお口の中の自浄作用も低下します。

虫歯や入れ歯が合わないなどお口のトラブルがあると噛み合わせが悪くなり食事を上手に噛めない・飲み込めない原因となります。


お口の中を綺麗に維持することは、「誤嚥性肺炎の予防」に役立ちます。

まとめ

今回は、高齢者に多く見られる『誤嚥』とその予防法についてまとめました。
全てを完璧にしようと思うと大変ですから、出来ることから少しずつ取り入れてみてください。

また、介護しながら「なんだか最近調子が悪いのかなぁ」と思ったら、かかりつけの医師に診てもらうことも大切です。
一番近くで介護している家族の感覚って、とっても大切ですよ!

要点まとめ

誤嚥には種類があり、高齢者の多くは飲み込み後に誤嚥が起こりやすい。
誤嚥は窒息誤嚥性肺炎に繋がる。
誤嚥を予防するには、飲み込みにくい食品は避けて、正しい姿勢で食事を行うことが大切。
また嚥下体操口腔ケアも積極的に行いましょう。

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