食事介助で誤嚥を防ぐポイント|介護用スプーンの選び方と使い方
高齢者の食事介助で気を付けたいことのひとつが「誤嚥(ごえん)」です。
毎日の介護の中で、
- この食べさせ方で大丈夫かな?
- スプーンは家にあるものでいいの?
- 最近むせることが増えた気がする
と不安に感じたことはありませんか?
実際に私が病院や高齢者施設で勤務していた頃も、ご家族から食事介助について相談を受けることがよくありました。
食事介助は、ただ食べ物を口へ運べばよいわけではありません。
スプーンの大きさや使い方、介助する位置によっても飲み込みやすさは変わります。
場合によっては、誤嚥や窒息のリスクを高めてしまうこともあります。
そこで今回は、
- 介護用スプーンの選び方
- 誤嚥を防ぐ食事介助のポイント
- スプーンの正しい使い方
について管理栄養士の視点からわかりやすく解説します。
結論|誤嚥を防ぐ食事介助のポイントは3つ
まず覚えておきたいポイントは次の3つです。
- 小さめで浅いスプーンを選ぶ
- 顎を引いた姿勢で食べる
- 下から口元へスプーンを運ぶ
介護用スプーンは特別な道具に見えるかもしれませんが、安全に食べるための大切なサポート用品です。
毎日の食事介助だからこそ、少しの工夫が誤嚥予防につながります。
なぜ介護用スプーン選びが大切なの?
食事介助で使うスプーンは、意外と見落とされがちなポイントです。
しかし、スプーンの大きさや形によっては飲み込みにくくなったり、一口量が多くなったりして誤嚥のリスクを高めることがあります。
例えば家庭でよく使うカレースプーン。
一見使いやすそうに見えますが、高齢者の食事介助には大きすぎる場合があります。
スプーンが大きいと、
- 一口量が多くなる
- 食べ物をすすり込みやすくなる
- 食べこぼしやすくなる
といった問題が起こりやすくなります。
特に飲み込む力(嚥下機能)が低下している方の場合は注意が必要です。
そのため、介護用スプーンは「食べやすさ」と「安全性」を考えて選ぶことが大切です。
食事介助を始める前に整えたい環境
誤嚥を予防するためには、スプーン選びだけでなく食事環境を整えることも大切です。
食事中にテレビの音が聞こえたり、人の出入りが多かったりすると、食べることへの集中力が低下してしまいます。
特に飲み込む力(嚥下機能)が低下している方は、食事に集中できないことで誤嚥を起こしやすくなることがあります。
食事介助を行う際は、
- テレビを消す
- 落ち着いて食事できる環境を整える
- 食べ物が見える位置に置く
- これから何を食べるか声をかける
といった工夫を心がけましょう。
上から介助は危険|下から介助が基本
食事介助では、介助する位置も重要です。
よく見られるのが、横から手を伸ばしたり、上からスプーンを入れたりする介助方法です。
しかし、この方法は顎が上がりやすくなり、誤嚥のリスクを高める可能性があります。
介助するときは、
- 右側から介助するなら右手
- 左側から介助するなら左手
を使い、自然な動きでスプーンを運ぶようにしましょう。
また、食べ物は本人の正面に置き、しっかり見てもらうことも大切です。
食べ物を見て、香りを感じることで「食べる準備」が整いやすくなります。
介護用スプーンの選び方
介護用スプーンは特別な道具に思われるかもしれませんが、大切なのは高価なものを選ぶことではありません。
その方が安全に食べられることが何より重要です。
選ぶときは、次の3つを意識してみましょう。
小さめのスプーンを選ぶ
家庭で使うカレースプーンは、高齢者の食事介助には大きすぎることがあります。
一口量が多くなりやすいため、介助には小さめのスプーンがおすすめです。
浅めのスプーンを選ぶ
深いスプーンは食べ物をたくさんすくえますが、口の中へ移しにくいことがあります。
唇で取り込みやすい浅めのスプーンの方が、自然な飲み込みにつながりやすくなります。
本人が使う場合は握りやすさも確認する
自分で食事をする方の場合は、握りやすさも大切です。
握力が弱い方や手に麻痺がある方は、柄が太いものや滑りにくいものが使いやすい場合があります。
スプーンの正しい使い方
スプーンは口の中へ押し込むものではありません。
食べる方が自分で唇を閉じて取り込めるようにサポートすることが大切です。
基本的な流れは次の通りです。
① 食べ物を見てもらう
まずは食べ物を見てもらいましょう。
何を食べるのか分かることで、飲み込みの準備がしやすくなります。
② 顎を軽く引いた姿勢を作る
顎が上がると誤嚥しやすくなります。
少し顎を引いた状態を意識しましょう。
③ スプーンを下から口元へ運ぶ
スプーンは下から口元へ運びます。
上から入れると顎が上がりやすくなるため注意が必要です。
④ 唇を閉じてもらう
スプーンを口の中へ入れたら、唇を閉じて食べ物を取り込んでもらいます。
無理に流し込む必要はありません。
⑤ 飲み込んだことを確認してから次の一口
口の中に食べ物が残っている状態で次の一口を入れると誤嚥のリスクが高まります。
慌てずゆっくり進めましょう。
食事介助でよくある失敗
食事介助では、良かれと思って行っていることが誤嚥につながる場合もあります。
一口量が多すぎる
早く食べてもらおうとして、一度にたくさん口へ運ぶのは危険です。
一口量は少なめを意識しましょう。
急いで食べさせてしまう
飲み込みを確認しないまま次々に口へ運ぶと誤嚥のリスクが高まります。
食べるペースは本人に合わせることが大切です。
顎が上がっている
上を向いた姿勢は誤嚥しやすくなります。
少し顎を引いた姿勢を意識しましょう。
食事中に会話やテレビに集中している
食事へ集中できないと飲み込みのタイミングが乱れやすくなります。
食事中はできるだけ落ち着いた環境を整えましょう。
管理栄養士からひとこと
介護をしていると、
「このやり方で合っているのかな」
と不安になることもあると思います。
でも、食事介助は特別な技術よりも基本を丁寧に行うことが大切です。
私自身、病院や高齢者施設で多くの方と関わってきましたが、スプーンや食器を変えるだけで食事量が増えたり、むせ込みが減ったりする場面を何度も見てきました。
食事介助の目的は、ただ食べてもらうことではありません。
その方が安全に、そして楽しく食事を続けられることです。
無理のない範囲で環境を整えながら、その方に合った方法を見つけていきましょう。
まとめ
今回は、食事介助で誤嚥を防ぐためのポイントと介護用スプーンの選び方について解説しました。
食事介助で大切なのは、
- 小さめで浅いスプーンを選ぶ
- 顎を引いた姿勢を作る
- 下からスプーンを運ぶ
- 一口量を少なくする
- 食事に集中できる環境を整える
ことです。
介護用スプーンは単なる道具ではなく、安全な食事を支える大切なサポート用品です。
毎日の食事介助に少しずつ取り入れながら、その方に合った食べやすい環境づくりを目指していきましょう。
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