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【高齢者の誤嚥対策】とろみ剤の違いや選び方を解説!

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本記事のテーマ
在宅介護者のために、市販のとろみ調整食品の違い選び方のポイントを徹底解説。
自分にあったとろみ調整剤(以下とろみ剤)を知って高齢者の誤嚥を予防しよう!

高齢者の誤嚥

在宅介護中のお食事で気をつけなければいけないのが『誤嚥』です。

本来、口から食堂に入るべき食べ物や飲み物などが誤って気管に入ることで「窒息」「誤嚥性肺炎」などの死に繋がるような重大なリスクを招きます。

▼こちらの記事で「高齢者の「誤嚥」の怖さと予防法」をご紹介しています。▼
“誤嚥”は死に繋がる危険がありますよ!

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厚生労働省のデータによると、肺炎は日本の疾患別死亡者数の第5位。

 


肺炎で亡くなる方の約95%65歳以上の高齢者で占められていて、その高齢者の肺炎の70%以上が『誤嚥』に関連していると言われています。

管理栄養士
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ここ数ヶ月では、新型コロナウイルスによる肺炎も非常に注目を集めています。

新型コロナウイルスが原因でも、誤嚥が原因であっても、とにかく「肺炎」は高齢者を死に至らしめるほどの恐ろしいリスクをもっています。

この『誤嚥』を予防するのに有効な方法として、食べ物や飲み物にとろみをつける方法があります。

管理栄養士
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とろみをつける方法として1番手軽なのは市販のとろみ剤を利用する方法です。

最近では、楽天やアマゾンをはじめとしたインターネットでの販売はもちろんですが、薬局やドラッグストアでも手軽に購入できるようになっています。

一口にとろみ調整食品といっても、いろいろなメーカーからたくさんの種類のものが販売されています。

在宅介護をする方々にとっては、どのようなとろみ調整食品を選べばよいかも悩ましいところかと思います。

管理栄養士
管理栄養士
今回は、そんなお悩みを解決すべく市販のとろみ剤の種類や違いなどを徹底解説致します。

とろみ剤の種類

昔から食べ物にとろみをつけるには、片栗粉小麦粉などを水に溶かしてから加熱する方法が取られてきました。

もちろん今でも、この方法で「とろみ」をつけることは可能ですが、時間や手間を考えると市販のとろみ剤を利用すると非常に便利です。

とろみ剤は大きく分けて3つに分類されます。

それぞれ主原料が異なっていて、第一第二第三世代と後ろの世代になればなるほど時代とともに改良が加えられてより使いやすいものになってきています。

第一世代

デンプンやデキストリン(デンプンを加工したもの)を主原料としている。

代表的な商品は「トロメリン顆粒」。

適切なとろみをつけるためにたくさんの量を使わなければいけない・溶けにくい・ダマになりやすい・唾液でとろみが変化しやすい・食べ物や飲み物の味を変化させやすい欠点がありました。

第二世代

デンプンと増粘多糖類を主原料としている。

代表的な商品は「トロミアップエース」「ハイトロミール」

第一世代の物に比べて、少量で適切なとろみがつくように改良され、とろみ自体の安定性もUPしました。
唾液でとろみが変化しやすい・とろみをつけると白く濁る・食べ物や飲み物の味を変化させやすい欠点は依然として残っていました。

第三世代

デンプンを使用せず、増粘多糖類とデキストリンだけを主原料としている。

代表的な商品は「つるりんこQuickly」があります。

とろみをつけても白くならず、ほぼ無味無臭のため食べ物や飲み物の味を変化させず素材の味や色をそのまま生かすことが出来るようになりました。
とろみ自体も安定しやすく、とろみ剤を加えてからとろみがつくまでの時間も短縮されています。第一・第二世代の欠点を克服して、現在の医療施設の現場で最も多く使用されているのがこの第三世代です。

とろみ剤の選び方

とろみ剤はたくさんのメーカーからさまざまな種類の商品が販売されています。

食べ物や飲み物の素材の味を活かしながら手軽に利用できる点から、第三世代の商品が主流になっています。

管理栄養士
管理栄養士
第三世代のものであればどれでも良いというわけではありません。
メーカーごとにも少しずつ違いがあるので、以下のポイントに注意しながら始めは少量のものを購入してみて自分にあった商品を選ばれると良いと思います。

ベタつかず飲み込みやすい仕上がりになるもの

第三世代の物であれば基本的には大丈夫ですが、とろみをつけたときにベタつかずにつるりと飲み込みやすい、とろみが均一に仕上がるものを選びましょう。

溶けやすくダマになりにくいもの

サッと溶けてダマになりにくいものを選びましょう。
健康な人には気にならない程度のダマやとろみムラも飲み込む(嚥下)力が低下している方にとってはのどに詰まってしまうおそれがあります。

時間がたってもとろみが安定しているもの

調理後に食べるまで時間が空いてしまう場合があります。
このような時に時間の経過と共に離水したり、とろみが弱まる、強まることがあると誤嚥の原因に繋がるため注意が必要です。
1度とろみがついたら、最初のとろみが安定するものをえらびましょう。

無味無臭のもの

せっかく美味しいお食事や飲み物を作っても、最後にとろみ剤を加えることで食品の味や風味が変わってしまうと、作った人も食べる人もがっかりしてしまいますよね。
なるべく無味無臭で、料理本来の味を活かせるようなものを選びましょう。
またなるべくとろみ自体が白濁せずに、無色透明なものの方が目で見てもお食事を楽しむことが出来ます。

個包装か大容量パックのものか

初めての商品を買う場合は小さい個包装のものを試してみてからが良いでしょう。
大きい大容量パックの方が単価・価格的には安い場合が多いのですが、大袋からスプーンで取る場合は量が正確に定量出来ずに、とろみにムラが出来たり調節がしにくくなってしまったりしてしまいます。

とろみ剤の使用期限は製品開封前であれば18か月程度ですが、開封後は吸湿しやすいので、できるだけ早く使用することが推奨されています。

開封後は、袋のまま保管せずに密閉容器などに移すことがお勧めなのでそのあたりを考えるとまずはスティックタイプなど少量から始めてみても良いと思います。

ちなみに、牛乳など乳製品はたんぱく質がとろみをつける物質を邪魔するので、通常のとろみ剤ではとろみがつきにくいのも特徴です。

牛乳や流動食用のとろみ剤も販売されています。

まとめ

今回は市販のとろみ剤の種類や選び方の基本を解説しました。

家族の介護必要になると、聞きなれない言葉やものを目にする機会も増えて始めのうちは悩むことが多々あると思います。

お悩みや疑問、一気に解決はできないけれど1つ1つ少しずつ向かい合って解決していきましょう。

管理栄養士
管理栄養士
このサイトも少しでもお手伝いができたら嬉しいです。

かかりつけの医師や管理栄養士にアドバイスをもらいながらでも良いと思います。

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