【管理栄養士が解説】とろみ剤の種類と選び方|高齢者の誤嚥予防に役立つポイント
高齢者の食事で気を付けたいことのひとつが「誤嚥(ごえん)」です。
本来は食道へ送られるはずの食べ物や飲み物が誤って気管へ入ってしまうことで、窒息や誤嚥性肺炎などの原因になることがあります。
その誤嚥対策として広く利用されているのが「とろみ剤(とろみ調整食品)」です。
最近ではドラッグストアや薬局、インターネット通販などで手軽に購入できるようになりました。
しかし、
- とろみ剤の種類が多くて違いが分からない
- どの商品を選べばいいの?
- 病院で使っているものと市販品は違うの?
と悩む方も少なくありません。
実際に私が病院で勤務していた頃や通所介護施設で栄養の話をするときにも、ご家族からとろみ剤の選び方について相談を受けることがよくありました。
そこで今回は、管理栄養士の視点から、
- とろみ剤の種類
- 世代ごとの違い
- 選び方のポイント
- おすすめのとろみ剤
について分かりやすく解説します。
結論|初めてとろみ剤を選ぶなら第三世代がおすすめ
先に結論をお伝えすると、現在とろみ剤を選ぶのであれば「第三世代」と呼ばれるタイプがおすすめです。
第三世代のとろみ剤は、
- ダマになりにくい
- 味や風味が変わりにくい
- 白く濁りにくい
- 時間が経ってもとろみが安定しやすい
という特徴があります。
現在、病院や介護施設でも広く使用されているのがこのタイプです。
もちろん商品ごとに特徴は異なりますが、初めて購入する方は第三世代の製品から選ぶと失敗が少ないでしょう。
それでは、とろみ剤の種類について詳しく見ていきましょう。
とろみ剤の種類
昔から食べ物にとろみをつける方法として、片栗粉や小麦粉を使う方法がありました。
現在では、より手軽に安定したとろみを付けられる「とろみ剤(とろみ調整食品)」が広く利用されています。
とろみ剤は大きく分けると、
- 第一世代
- 第二世代
- 第三世代
の3種類に分類されます。
後の世代になるほど改良が加えられ、より使いやすく進化してきました。
とろみ剤の種類を比較
| 種類 | 主原料 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 第一世代 | デンプン・デキストリン | ダマになりやすい、とろみが不安定 | △ |
| 第二世代 | デンプン+増粘多糖類 | 改良されたが白濁しやすい | ○ |
| 第三世代 | 増粘多糖類+デキストリン | 味が変わりにくく安定性が高い | ◎ |
第一世代
第一世代は、デンプンやデキストリンを主原料としたとろみ剤です。
当時は画期的な商品でしたが、
- 多くの量が必要
- ダマになりやすい
- 唾液でとろみが変化しやすい
- 味に影響しやすい
といった課題がありました。
代表的な商品としては「トロメリン顆粒」などがあります。
第二世代
第二世代は、デンプンに増粘多糖類を加えたタイプです。
第一世代より少ない量でとろみが付きやすくなり、とろみの安定性も向上しました。
一方で、
- 白く濁りやすい
- 味への影響が残る
- 唾液による変化を受けやすい
という特徴があります。
代表的な商品には「トロミアップエース」や「ハイトロミール」などがあります。
第三世代
現在主流となっているのが第三世代です。
デンプンを使用せず、増粘多糖類を主原料としているため、
- 白く濁りにくい
- 無味無臭に近い
- 素材の味を損ねにくい
- ダマになりにくい
- とろみが安定しやすい
という特徴があります。
私が勤務していた病院や高齢者施設でも、第三世代のとろみ剤が主に使用されていました。
初めてとろみ剤を選ぶ方は、まず第三世代の商品から検討することをおすすめします。
とろみ剤の選び方
第三世代のとろみ剤であれば基本的な性能は高くなっていますが、メーカーによって特徴は少しずつ異なります。
初めて購入する場合は、次のポイントを確認しながら選びましょう。
ベタつかず飲み込みやすいもの
とろみ剤は単に「とろみが付けば良い」というわけではありません。
ベタつきが強いと、かえって口の中や喉に張り付きやすくなり、飲み込みにくさにつながる場合があります。
とろみが均一で、つるりと飲み込みやすい仕上がりになるものを選びましょう。
ダマになりにくいもの
健康な人には気にならない小さなダマでも、嚥下機能が低下している方にとっては飲み込みにくさの原因になることがあります。
サッと溶けてダマになりにくい製品を選ぶことが大切です。
時間が経っても安定しているもの
介護の現場では、作ってすぐに食べられるとは限りません。
食事の準備をしてから実際に食べるまで時間が空くこともあります。
時間の経過とともに、
- とろみが弱くなる
- とろみが強くなる
- 離水する
といった変化が起こると誤嚥のリスクにつながります。
時間が経っても安定した状態を保てる製品を選びましょう。
無味無臭のもの
せっかく美味しく作った食事や飲み物も、とろみ剤によって味や風味が変わってしまうと食欲低下につながります。
なるべく無味無臭で、食材本来の味や香りを損なわないものがおすすめです。
個包装か大容量タイプか
初めて購入する場合は、まず少量の個包装タイプから試すことをおすすめします。
大容量タイプは価格的にはお得ですが、
- 計量が難しい
- とろみにムラが出やすい
- 開封後の管理が必要
というデメリットもあります。
使い慣れてから大容量タイプへ切り替えるのが安心です。
管理栄養士の私ならどんなとろみ剤を選ぶ?
正直なところ、現在販売されている第三世代のとろみ剤であれば、どれも十分使いやすくなっています。
私自身も病院や高齢者施設でさまざまな商品を使ってきましたが、第三世代同士で劇的な差を感じる場面はそれほど多くありません。
そのため、
- 近所のドラッグストアで購入できる
- 続けて購入しやすい
- 家族が使いやすい
- 価格的に続けやすい
といった点も大切だと思っています。
介護は毎日のことなので、
「この商品じゃなきゃダメ」
ではなく、
「続けやすい商品を選ぶ」
ことを優先してほしいと思います。
私ならまず「つるりんこQuickly」を選ぶと思います
「どれを選べばいいかわからない」
という方なら、私ならまず「つるりんこQuickly」を選ぶと思います。
病院や高齢者施設でもよく使用されている定番商品で、クセが少なく初めてでも扱いやすいからです。
もちろん、近所のドラッグストアで別の第三世代のとろみ剤が手に入るのであれば、まずはそちらを試してみるのも十分アリだと思います。
私は作り置きをするならソフティアSを選ぶ
介護食を作り置きする機会が多い方には「ソフティアS」もおすすめです。
温度変化による影響が比較的少なく、冷蔵保存後や再加熱後もとろみが安定しやすい特徴があります。
以前ご紹介した「とろみ付き介護食の冷凍・冷蔵保存」の記事でも解説していますが、作り置きをする方には扱いやすい製品のひとつです。
牛乳や流動食には専用品がおすすめ
牛乳や濃厚流動食は、通常の飲み物と比べてとろみが付きにくい特徴があります。
これは牛乳に含まれるたんぱく質が、とろみの形成に影響を与えるためです。
そのため、牛乳や流動食に使用する場合は専用の商品を選びましょう。
代表的な商品として「つるりんこ 牛乳・流動食用」があります。
よくある質問
Q. とろみ剤はどれを選べばいいですか?
初めて購入する場合は第三世代の商品がおすすめです。
迷った場合は、まず「つるりんこQuickly」など定番商品から始めると失敗が少ないでしょう。
Q. 片栗粉で代用できますか?
片栗粉でもとろみを付けることは可能ですが、温度による変化が大きく安定性に欠けます。
誤嚥予防を目的とする場合は、市販のとろみ剤の使用をおすすめします。
Q. とろみ剤の保存期間はどのくらいですか?
商品によって異なりますが、未開封で1年〜1年半程度のものが一般的です。
開封後は湿気を避け、できるだけ早めに使い切りましょう。
Q. とろみ剤を入れすぎた場合はどうすればいいですか?
飲み込みにくくなる可能性があります。
入れすぎた場合は飲み物や料理を追加して濃度を調整しましょう。
その際も、ダマが出来ていないか確認しましょう。
まとめ
とろみ剤は誤嚥予防に役立つ便利な食品ですが、商品によって特徴が異なります。
初めて選ぶ場合は、
- 第三世代の製品を選ぶ
- ダマになりにくいものを選ぶ
- 味を変えにくいものを選ぶ
- 時間が経っても安定するものを選ぶ
ことがポイントです。
また、とろみ剤を正しく使うことも同じくらい大切です。
実際の使用方法や注意点については、こちらの記事も参考にしてください。
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