レトルト介護食の選び方|表示の見方とUDF(ユニバーサルデザインフード)を管理栄養士が解説
はじめに
レトルト介護食を選ぼうと思ってお店へ行くと、「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」など、さまざまな表示が並んでいて迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
「どれを選べばいいの?」
「やわらかいものを選べば安心?」
「違いがよくわからない…」
そんな疑問を持ったまま購入してしまうと、食べにくかったり、反対に必要以上にやわらかい食事を選んでしまったりすることがあります。
介護食選びで大切なのは、「できるだけやわらかいもの」を選ぶことではなく、その人の食べる力に合った食事を選ぶことです。
介護食は「やわらかければ安心」というわけではありません。
食べる人に合った食事を選ぶことが、毎日の食事を安全で楽しい時間にするポイントです。
今回は、レトルト介護食に表示されている「ユニバーサルデザインフード(UDF)」や「スマイルケア食」の違い、失敗しない介護食の選び方について、管理栄養士がわかりやすく解説します。
本記事でわかること
✓ レトルト介護食の表示の意味
✓ ユニバーサルデザインフード(UDF)とは
✓ スマイルケア食との違い
✓ 食べる人に合った介護食の選び方
✓ 管理栄養士が考える失敗しない介護食選び
レトルト介護食は「やわらかければいい」わけではありません
「むせると心配だから、一番やわらかいものを買っておこう。」
そのように考える方も少なくありません。
しかし、必要以上にやわらかい食事を続けることは、必ずしも良いことではありません。
噛む力は、使わなければ少しずつ衰えていきます。
まだ噛める力が残っている方まで、ペースト状の食事ばかり続けてしまうと、食べる機能の低下につながる可能性もあります。
もちろん反対に、食べる力以上に硬い食事を選んでしまうと、むせや誤嚥の原因になることもあります。
つまり、一番大切なのは「その人の食べる力に合った食事」を選ぶことなのです。
介護食は「できるだけやわらかいもの」を選ぶのではなく、「今の状態に合ったもの」を選ぶことが大切です。
ユニバーサルデザインフード(UDF)とは?
スーパーやドラッグストアで販売されているレトルト介護食を見ると、「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」などの表示があります。
初めて見ると「何が違うの?」と迷ってしまいますよね。
※介護食は「表示」を見ることで選びやすくなります。
この表示は、日本介護食品協議会が定める「ユニバーサルデザインフード(UDF)」の区分です。
食べる人の「噛む力・飲み込む力」に合わせて食品を選びやすくするための表示なので、この意味を知っておくだけでも介護食選びがぐっと楽になります。

メーカーが違っても同じ基準で表示されているため、利用者や介護者が食品を選びやすくなっています。
現在では、多くの介護食メーカーがこの表示を採用しています。
ユニバーサルデザインフードの4つの区分
レトルト介護食は、食べやすさに応じて4つの区分に分けられています。
容易にかめる
・普通食が少し食べにくくなってきた方
・歯がある程度残っている方
・少しかたい食材だけが食べにくい方
歯ぐきでつぶせる
・入れ歯を使用している方
・歯ぐきで食べることが多い方
・やわらかい食材なら食べられる方
舌でつぶせる
・噛む力がかなり弱くなった方
・舌で押しつぶせるやわらかさが必要な方
かまなくてよい
・噛むことが難しい方
・飲み込みに配慮が必要な方
パッケージに表示されているUDF区分を見るだけでも、自分に合った介護食を選びやすくなりますよ。
スマイルケア食とは?
レトルト介護食には、「ユニバーサルデザインフード(UDF)」のほかに、「スマイルケア食」という表示があります。
スマイルケア食は、農林水産省が普及を進めている食品の区分表示です。
栄養状態や食べる力に応じて、次の3種類のマークで分類されています。
青マーク
健康維持や低栄養予防のために栄養補給が必要な方向け
黄マーク
噛むことが難しくなった方向け
赤マーク
飲み込むことが難しい方向け
現在も対象商品は少しずつ増えていますが、市販のレトルト介護食では、ユニバーサルデザインフード(UDF)の表示の方が広く普及しています。
介護食を選ぶなら、まずはUDF表示を確認するのがおすすめです。スーパーやドラッグストアでも見つけやすいですよ。
病院では「嚥下食ピラミッド」が使われることもあります
病院や介護施設では、「嚥下食ピラミッド」という考え方をもとに食事形態を決めている場合があります。
これは、食べる・飲み込む力に合わせて、普通食から嚥下食までを段階的に分類したものです。
退院後も同じような食事形態が必要になるケースがあるため、ご家族が病院で食事について説明を受ける機会もあるでしょう。
退院前には「どのくらいの硬さなら食べられるのか」を確認しておくと、自宅で介護食を選ぶときも安心です。
レトルト介護食を選ぶ3つのポイント
① 食べる人の「今の状態」に合わせて選ぶ
介護食選びで最も大切なのは、その人の現在の食べる力に合ったものを選ぶことです。
「念のため、一番やわらかいものを…」と選んでしまうと、噛む力を使う機会が減ってしまうこともあります。
反対に、硬すぎる食事では、むせや誤嚥につながる可能性があります。
無理をせず、「今ちょうど食べやすい」と感じられるものを選びましょう。
② UDF表示を目安に選ぶ
市販の介護食なら、パッケージに表示されているUDF区分を見るだけでも、選びやすくなります。
メーカーが違っても基準は共通なので、初めて介護食を購入する方にもわかりやすい表示です。
迷ったときは、まずUDF表示を確認する習慣をつけると安心です。
③ 迷ったら専門家へ相談する
「どの区分が合っているかわからない」
そんなときは自己判断だけで決めず、医師や歯科医師、言語聴覚士、管理栄養士などの専門家へ相談しましょう。
食べる力は一人ひとり違います。
専門家のアドバイスを受けながら選ぶことで、安全で食べやすい介護食につながります。
管理栄養士から見たポイント
「かまなくてよい」の介護食は、安全だから選ぶものではありません。
その方の食べる力に本当に必要な場合に選ぶ食事です。
残っている噛む力を大切にすることも、介護食選びではとても重要ですよ。
介護食は、「やわらかければ安心」というものではありません。
その人が安全に、おいしく食べ続けられることが何より大切です。
「今日はしっかり食べられたね」
そんな毎日の積み重ねが、食べる楽しみや生活の質(QOL)につながっていきます。
まとめ
レトルト介護食を選ぶときは、「やわらかそう」という印象だけで選ぶのではなく、表示の意味を理解して選ぶことが大切です。
今回ご紹介したポイントをもう一度まとめます。
✓ UDF(ユニバーサルデザインフード)は市販の介護食選びの目安になる
✓ スマイルケア食は農林水産省が普及を進めている表示
✓ 介護食は「やわらかければ良い」わけではない
✓ 食べる人の状態に合った区分を選ぶことが重要
✓ 判断に迷ったら専門家へ相談する
介護食は毎日続けるものだからこそ、「安全」と「おいしさ」の両方を大切に選んでいきましょう。
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