介護食の種類と選び方|きざみ食・軟菜食・ミキサー食の違いを管理栄養士が解説
介護食を作ることになったとき、
「きざみ食と軟菜食は何が違うの?」
「うちの親にはどの介護食が合っているの?」
「とりあえず柔らかくすれば大丈夫?」
と迷う方は少なくありません。
介護食にはさまざまな種類があり、状態に合わない食事を選ぶと、むせや誤嚥の原因になることもあります。
この記事では、
・介護食の種類
・それぞれの特徴
・選び方のポイント
・迷ったときの判断方法
について、介護食初心者の方にもわかりやすく解説します。
介護食とは?
介護食とは、噛む力(咀嚼)や飲み込む力(嚥下)が低下した方でも食べやすいように工夫された食事のことです。
実は「介護食」という言葉に明確な定義はありません。
高齢者の状態に合わせて、
・やわらかくする
・細かくする
・とろみをつける
・飲み込みやすくする
などの工夫をした食事全般を介護食と呼びます。
一口に高齢者といっても、
噛む力や飲み込む力には大きな個人差があります。
そのため、
「介護食なら何でも良い」
というわけではなく、その人に合った食事形態を選ぶことが大切です。
介護食はどう選ぶ?まず確認したい3つのポイント
介護食を選ぶときにまず確認したいのは次の3つです。
むせることはないか
お茶や汁物でむせることが増えた場合は、飲み込む力が低下している可能性があります。
歯ぐきで噛めるか
硬い肉や野菜が食べにくくなっている場合は、噛む力が弱くなっているかもしれません。
食事時間が長くなっていないか
以前より食事に時間がかかるようになった場合も、咀嚼や嚥下機能が低下しているサインのひとつです。
このような様子を確認しながら、その方に合った介護食を選んでいきます。
介護食の種類
| 種類 | 向いている人 | 特徴 |
|---|---|---|
| きざみ食 | 噛む力が弱い人 | 食材を細かく刻む |
| 軟菜食 | 歯ぐきで噛める人 | 柔らかく調理 |
| ミキサー食 | 噛むことが難しい人 | ペースト状 |
| ソフト食 | 噛む力・飲み込む力が弱い人 | 形を残しつつ柔らかい |
| 嚥下食 | 飲み込む力が弱い人 | 飲み込みやすく調整 |
介護食にはそれぞれ向いている人がいます。ここからは各介護食の特徴を詳しく見ていきましょう。
きざみ食
特徴
一般的な食事を細かく刻んだものです。
飲み込む力には問題がないものの、噛む力が弱くなった方に向いています。
メリット
・家庭でも作りやすい
・特別な調理器具が不要
デメリット
・口の中でバラバラになりやすい
・飲み込みにくい場合がある
きざみ食は誰にでも向いているわけではない
介護食というと、
「とりあえず細かく刻めば安心」
と思われがちです。
しかし実際には、細かく刻んだ食事は口の中でまとまりにくく、かえって飲み込みにくくなることがあります。
そのため近年は、
単純なきざみ食ではなく、
軟菜食やソフト食を選ぶ施設も増えています。
介護食は「柔らかさ」だけではなく、「飲み込みやすさ」も大切なのです。
軟菜食
特徴
食材を煮たり蒸したりして、舌や歯ぐきでつぶせる柔らかさにした食事です。
飲み込む力には問題がないものの、噛む力が低下している方に向いています。
メリット
・見た目が自然
・食事の満足感が得やすい
・飲み込みやすい
デメリット
・調理に時間がかかる
・食材によっては柔らかくするのが難しい
ミキサー食
特徴
食材を調理した後にミキサーにかけ、ペースト状にした食事です。
噛む力が大きく低下した方に向いています。
食材によっては、とろみ剤を加えて飲み込みやすく調整することもあります。
メリット
・比較的作りやすい
・硬い食材でも食べやすくなる
デメリット
・見た目が単調になりやすい
・食欲がわきにくい場合がある
ミキサー食は、水分を加えて作ることが多いため、見た目以上に栄養が薄まってしまうことがあります。
食事量が少ない方では、栄養不足につながることもあるため注意が必要です。
ソフト食
特徴
食材をペースト状にした後、専用の凝固剤などを使って再形成した食事です。
見た目は通常の料理に近い状態ですが、舌や歯ぐきでつぶせる柔らかさになっています。
噛む力と飲み込む力の両方が低下している方に向いています。
メリット
・見た目が良い
・食事の楽しみを感じやすい
・誤嚥リスクを減らしやすい
デメリット
・家庭で作るには手間がかかる
・適切な硬さの調整が難しい
近年は病院や介護施設でも、きざみ食からソフト食へ移行するケースが増えています。
▼こちらの記事で「高齢者向け宅配食【ムースやわらか食】の実食レビュー」をご紹介しています▼
“ソフト食”メニューを写真付きで掲載しているので参考にしてみてください。
嚥下食
特徴
飲み込む力が低下した方のために作られた食事です。
ペースト状にしたり、とろみをつけたりして飲み込みやすく調整します。
誤嚥を予防することが大きな目的です。
向いている人
・食事中によくむせる
・お茶や水でむせる
・飲み込むのに時間がかかる
このような症状がある場合は、医師や言語聴覚士などの専門職へ相談することをおすすめします。
介護食選びで迷ったときの考え方
介護食選びで大切なのは、
「どの介護食が優れているか」
ではなく、
「その人に合っているか」
です。
例えば、
・むせない
・最後まで食べられる
・食事を楽しめる
といった視点で考えることが大切です。
以前は食べられていたものでも、体調や加齢によって合わなくなることがあります。
介護食は一度決めたら終わりではなく、その時々の状態に合わせて見直していきましょう。
市販の介護食を選ぶなら「スマイルケア食」を参考に
最近は市販の介護食も充実しています。
ただ、
「どれを選べば良いかわからない」
という方も多いでしょう。
そんなときに参考になるのが、農林水産省が普及を進めている「スマイルケア食」です。
スマイルケア食では、
- 青マーク:栄養補給が必要な方向け
- 黄マーク:噛むことが難しい方向け
- 赤マーク:飲み込むことが難しい方向け
と分類されています。
市販品を選ぶ際の目安として活用できます。
選び方で迷ったらフローチャートを活用
介護食選びで迷ったときは、農林水産省が公開している「スマイルケア食」のフローチャートが参考になります。
「むせることがある」
「硬いものが噛みにくい」
「食事に時間がかかる」
などの状況から、自分に合った食事の目安を確認できます。

完全に一致するわけではありませんが、介護食選びの出発点として活用しやすいでしょう
ユニバーサルデザインフード(UDF)も参考に
市販の介護食を選ぶ際には、日本介護食品協議会が制定している「ユニバーサルデザインフード(UDF)」の表示も参考になります。
ユニバーサルデザインフードとは、かむ力や飲み込む力が弱くなった方でも食べやすいように配慮された食品のことです。
商品のパッケージには、
- 容易にかめる
- 歯ぐきでつぶせる
- 舌でつぶせる
- かまなくてよい
の4段階で表示されており、食べる方の状態に合わせて選びやすくなっています。
介護食選びに迷ったときは、ユニバーサルデザインフードの区分表も参考になります。

食事のかたさや飲み込みやすさの目安が分かるため、市販の介護食を選ぶ際の参考になるでしょう。
▼レトルト介護食の独特な香りが気になる方は、こちらの記事も参考にしてください▼
自分で判断が難しいときは相談を
介護食選びに不安がある場合は、
- かかりつけ医
- 管理栄養士
- 言語聴覚士
- 地域包括支援センター
などへ相談してみましょう。
食事は毎日のことだからこそ、無理に一人で判断する必要はありません。
管理栄養士から伝えたいこと
介護食は特別な食事ではありません。
大切なのは、
「安全に食べられること」
そして
「食べる楽しみを失わないこと」
です。
柔らかくすることだけを意識するのではなく、
その方が無理なく美味しく、食べられる状態を目指していきましょう。
市販の介護食を利用しても大丈夫?
介護食は必ずしも手作りである必要はありません。
最近では、
・レトルト介護食
・宅配介護食
・やわらか食
・ムース食
など、食べやすさに配慮された商品が数多く販売されています。
介護を長く続けるためには、介護者の負担を減らすことも大切です。
手作りだけにこだわらず、市販品も上手に活用しながら続けられる方法を選びましょう。
まとめ
介護食には、
- きざみ食
- 軟菜食
- ミキサー食
- ソフト食
- 嚥下食
などの種類があります。
それぞれ向いている人が異なるため、
「とりあえず柔らかくする」
のではなく、
噛む力や飲み込む力に合わせて選ぶことが大切です。
介護食選びに迷ったときは、
- スマイルケア食
- ユニバーサルデザインフード
などの表示も参考にしながら、その方に合った食事を見つけていきましょう。
▼”やわらかダイニング“は食事について管理栄養士に気軽に相談できます▼
介護食のお弁当選びに不安がある方にもおすすめ。

