誤嚥の危険が出てきた高齢者の食事では、「とろみ剤」を使うことが一般的です。

毎日の食事だけでなく、お茶やジュース、味噌汁など、さまざまな飲食物に使用するため、介護者にとっては欠かせない存在といえるでしょう。

最近では介護食の作り置きをする方も増え、

  • とろみをつけた後でも冷蔵保存できる?
  • 冷凍しておいて後から使える?
  • 解凍したらとろみは変わらない?

と疑問に思う方も少なくありません。

実は私自身も、とろみ付き介護食の保存方法について調べた際、

「介護食の作り置き」に関する記事はたくさんあるのに、

「とろみをつけた後の冷凍・冷蔵保存」について詳しく解説した記事がほとんど見つかりませんでした。

とろみ剤は製品によって特徴が異なり、保存や再加熱によって粘度が変化することもあります。

誤嚥予防のために使っているはずのとろみが、保存方法によっては逆に飲み込みにくさにつながることもあるため注意が必要です。

そこで今回は管理栄養士の視点から、

とろみ付き介護食は冷蔵・冷凍保存できるのか?

という疑問について詳しく解説します。

結論|とろみ付き介護食の冷蔵保存は可能、冷凍保存は基本NG

先に結論をお伝えすると、

  • とろみ付き介護食の冷蔵保存は可能
  • とろみ付き介護食の冷凍保存は基本的におすすめしない
  • 冷凍する場合は「解凍後にとろみ付け」が基本
  • 保存後は必ずとろみの状態を確認してから提供する

ことが大切です。

とろみ剤の種類によっては温度変化の影響を受けにくい製品もありますが、保存方法によっては粘度が変化したり離水したりする場合があります。

安全に食べてもらうためにも、保存後の状態確認は欠かせません。

それでは詳しく見ていきましょう。

とろみ調整食品の冷蔵庫保存は可能?

作り置きしたとろみ付き介護食を冷蔵保存することは可能です。

ただし、どのとろみ剤でも同じように保存できるわけではありません。

とろみ剤は製品によって特徴が異なります。

冷蔵保存で気を付けたいこと

とろみ付き介護食は冷蔵保存できますが、再加熱する際には注意が必要です。

とろみ剤は一般的に温度が高くなるほど粘度が弱くなる傾向があります。

そのため、冷蔵保存した介護食を再加熱する際は、次の点に注意しましょう。

加熱しすぎない
・提供する温度で再度状態を確認する
・必要に応じてとろみを再調整する

作り置きに向いているとろみ剤

介護食の作り置きをする場合は、温度変化による影響を受けにくいとろみ剤を選ぶことが大切です。

とろみ剤の中には、冷蔵保存や再加熱によって粘度が変化しやすいものもあります。

一方で、比較的とろみが安定しやすい製品もあり、作り置きをする機会が多い方にはそうした製品の方が扱いやすいでしょう。

私が病院や高齢者施設で勤務していた頃、現場で使用することが多かった商品のひとつが「ソフティアS(とろみ食用)」です。

ソフティアSは温度変化による影響が比較的少なく、一度冷蔵保存した介護食を再加熱する場合でも、とろみの状態が安定しやすい特徴があります。

ただし、どんなとろみ剤を使用していても過信は禁物です。保存後や再加熱後は、必ずとろみの状態を確認してから提供するようにしましょう。

とろみ調整食品の冷凍庫保存は可能?

作り置きしたとろみ付き介護食を冷凍保存したいと考える方も多いと思います。

しかし、とろみ付き介護食の冷凍保存は基本的にはおすすめできません。

その理由は、冷凍・解凍によってとろみの状態が変化してしまうためです。

とろみをつけた飲み物や汁物を冷凍した場合、解凍後に当初の粘度を維持できないことがあります。

また、ソフト食やゼリー食などの場合も、使用している食材や調整剤によっては離水(食材から水分が出ること)が起こりやすくなります。

離水が起きると、見た目には問題がなくても飲み込みやすさが変化し、誤嚥のリスクが高まる可能性があります。

介護食においては「飲み込みやすさ」が何より重要です

そのため、ペースト食やミキサー食を作り置きする場合は、とろみをつける前の状態で冷凍保存し、食べる際に解凍してからとろみをつける方法がおすすめです。

冷凍するなら「解凍後にとろみ付け」が基本

ペースト状やミキサー状の介護食は、とろみをつける前であれば冷凍保存しやすい食品もあります。

作り置きをする場合は、

  1. 食材を調理する
  2. ペースト状・ミキサー状にする
  3. 冷凍保存する
  4. 解凍・再加熱する
  5. 最後にとろみをつける

という流れがおすすめです。

この方法であれば、とろみの変化を最小限に抑えることができます。

冷凍保存できる介護食もある

すべての介護食が冷凍保存できないわけではありません。

専用の調整剤を使用したソフト食やゼリー食の中には、冷凍保存に対応しているものもあります。

例えば「ソフティアR(ゼリー食用)」「ソフティアU」は、冷凍・解凍後の離水が比較的少なく、作り置きにも活用しやすい製品です。

ただし、使用する製品によって特性は異なります。

お粥やうどんなど、冷凍・解凍によって食感が変化しやすい食品に使用できる調整剤です。

それ以外の食材は、「ソフティアR(ゼリー食用)」がおすすめです。

ソフティアR(アール)ゼリー食用

冷凍保存を行う場合は、必ず製品の説明書を確認し、推奨されている方法で保存するようにしましょう。

「冷凍保存できない」と聞くと不安になるかもしれませんが、専用の調整剤やレシピを活用すれば、作り置きしやすい嚥下食もあります。

管理栄養士
管理栄養士
実際に、冷凍保存を前提とした嚥下食レシピ本も出版されています。

とろみ付き介護食の保存期間は?

介護食は一般的な食事よりも人の手が加わる工程が多く、細菌が繁殖しやすい状態になりやすい特徴があります。

特にミキサー食やきざみ食は、調理工程が増えるため衛生管理が重要です。

調理後はできるだけ早く冷却し、清潔な保存容器に入れて保存しましょう。

保存期間の目安は次の通りです。

【冷蔵保存】
24時間以内を目安に食べきる

【冷凍保存】
1週間程度を目安に食べきる

いずれの場合も、見た目やにおいに異常を感じた場合は食べないようにしてください。

介護食を作り置きするときの注意点

衛生管理を徹底する

高齢者は免疫力や抵抗力が低下していることが多く、食中毒が重症化しやすい傾向があります。

調理前の手洗いはもちろん、肉や魚を触った後もこまめに手を洗いましょう。

まな板や包丁も食材ごとに使い分けると安心です。

常温放置を避ける

調理後の介護食を長時間室温に置いておくと、細菌が急速に増殖する可能性があります。

調理後はなるべく早く保存し、食べる時も必要な分だけ取り出すようにしましょう。

自然解凍は避ける

冷凍保存した介護食は自然解凍ではなく、電子レンジなどで十分に再加熱してから提供しましょう。

解凍後は、とろみの状態や離水の有無を必ず確認することが大切です。

作り置きが難しい場合は宅配介護食も活用しよう

介護食の作り置きは、時間や手間がかかるだけでなく、とろみ調整や衛生管理にも気を配る必要があります。

毎日の介護の中で負担を感じている場合は、宅配介護食や市販の介護食を活用するのもひとつの方法です。

特にやわらかさや飲み込みやすさに配慮された介護食は、調理の負担を減らしながら栄養管理もしやすくなります。

私自身も、介護食の作り置きは想像以上に手間がかかると感じています。特に嚥下調整が必要な場合は、保存方法や衛生管理にも気を配る必要があります。

毎日続けるのが難しい場合は、無理をせず宅配介護食を活用するのもひとつの方法です。

最近は、やわらかさに配慮した冷凍タイプの介護食も増えています。

無理をしすぎず、利用できるサービスを上手に取り入れていきましょう。

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よくある質問

Q. とろみをつけたお茶は翌日も飲めますか?

冷蔵保存は可能ですが、保存後は必ずとろみの状態を確認してください。製品によっては粘度が変化することがあります。

Q. とろみをつけた味噌汁は冷蔵保存できますか?

冷蔵保存は可能です。ただし再加熱によってとろみの強さが変わる場合があるため、提供前に確認しましょう。

Q. とろみ付き介護食弁当は冷凍できますか?

とろみをつけた状態での冷凍はおすすめできません。冷凍する場合は解凍後にとろみをつける方法が安全です。

Q. 解凍後にとろみが弱くなったらどうすればいいですか?

必要に応じてとろみ剤を追加し、適切な粘度に再調整しましょう。飲み込みやすさを確認してから提供してください。

まとめ

とろみ付き介護食の冷蔵保存は可能ですが、再加熱による粘度変化には注意が必要です。

一方で、とろみをつけた状態での冷凍保存は基本的にはおすすめできません。

作り置きをする場合は、

「冷凍保存 → 解凍 → とろみ付け」

を基本とし、提供前には必ず状態を確認しましょう。

介護食は安全に飲み込めることが何より大切です。

無理のない範囲で作り置きを活用しながら、必要に応じて宅配介護食や市販の介護食も取り入れてみてください。

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