遠距離介護とは
遠距離介護とは、その名の通り、離れた所で暮らしている介護が必要な親や親族など同居せず離れて暮らしながら介護を行うことです。
仕事を辞めることは出来ない、慣れない土地に高齢の親を呼び寄せることにも抵抗がある。そんなとき「遠距離介護」という選択をされる方はたくさんいます。
2016年国民生活基礎調査を見てみると、介護をしている人の約6割が介護者と同居。
残り4割のうちの12%近くが遠距離介護をしているようです。
遠距離介護のメリット
介護する側が今の生活を続けられる
介護者が生活拠点を移さずに介護をするため、転居の必要がなく「介護離職の防止」にもつながります。
また、介護と普段の生活を分けて考えやすくなり、オンとオフの切り替えがしやすくなります。
介護中心の生活に陥らずに済むので介護のことを客観的にみつめやすく、ストレスを抱え込むリスクが軽減します。
介護保険サービスの優先度が高い
将来的に施設入所を希望する場合は、一人暮らしや高齢者のみの世帯の場合の方が生活状況が考慮され、施設の入所の優先度が高くなるケースが多い傾向があります。
住み慣れた環境で親を過ごさせてあげられる
高齢になると、住み慣れた自宅を離れて生活することに抵抗を覚える方も多くいます。
介護者である子供がいるとしても、新しい土地、人間関係、生活する場所など環境の変化は高齢者にとっては大きなストレスになり得ます。
もし自分の立場であっても、できる事なら住み慣れた家で安心感を感じながら過ごしたいと思いますよね。
親子の距離感を保てる
親子といえども、独立して家を出た後は数年~何十年も離れて暮らしています。
いきなり、同じ屋根の下で生活するのはそれなりにストレスが生まれます。
同居しながら介護をしている場合、介護が負担となり親子の関係が悪化することもしばしばあることです。
「遠距離介護」なら、介護しながらもある程度の距離を保てるので、お互いに精神的な負担やストレスを軽減できます。
遠距離介護のデメリット
費用負担が大きい場合がある
遠距離介護の大きな難点の1つに「お金がかかる」ということがあります。
交通費がかかる
遠く離れたところにすむ親に定期的に会いに行くには交通費がかかります。
飛行機・新幹線・電車など様々ですが距離が遠ければ遠いほど往復の交通費が家計を圧迫する場合が多いです。
同居での介護されている方でも、はじめは遠距離介護をしていたけれど、いざ始めてみたら交通費等の費用負担が想像以上に大きく、結果的に親を近くに呼び寄せたという方が多いのも現状です。
非常事態・外出自粛時に会いにいけない
2020年に入り、コロナウイルスの影響で世界中がこれまで想像もしていなかった事態に見舞われています。日本でも外出自粛・ステイホームが叫ばれて思うように出かけることも出来ません。
飛行機や新幹線などでなければ愛にいけないような、遠く離れている親がすんでいる「遠距離介護者は、親に会いに行けない日々が続いているのではないでしょうか。
会いに行きたいけれど、自分が無症状コロナ感染者であったら・・・
そう思うと不安になりますよね。
今回はコロナウイルスもそうですが、今後新型インフルエンザが流行したり、地震や水害などの自然災害島が起きた場合も、同様の状況は考えられます。
バリアフリー改修工事費用
介護が必要な方の状態にもよりますが、多くの場合は、自宅のバリアフリー化のための改修工事が必要です。
家の中での転倒予防のための手すり等、ケガを未然に防ぐための自宅整備は必要不可欠です。
この場合の費用は、介護保険や補助金を利用できる場合が多いです。
緊急時の対応が遅れがち
離れて暮らしていると、急に容体が変化してもすぐに気付いて、早急な対応することができません。
また、どんなに委託サービスを利用しても24時間体制でない限りは介護に空白の時間が出来てしまいます。
介護が必要な方の状態を把握するためにも、電話などで小まめに連絡をとることや、緊急時に対応できる体制(見守りサービスや安否確認など)づくりも必要になります。
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遠距離介護と食事
介護が必要な方は、多くの場合自分で買い物に行けなかったり、料理を作ることが難しくなってきたりしている方が多いです。
以下のような食事サポートを行っている場合が多いです。
冷凍の作り置きのおかず
介護に行った際におかずの作り置きして冷凍をしたり、作ったものを冷凍してクール便で配達してもらうという方法です。
普段から食べなれた味や家族の好きな味付けを知っているので食も進みやすく非常に喜ばれます。
介護食の形態として、少しやわらかめくらいの状態であれば普通の食事と似たような作り方で良いので作りやすく対応しやすいです。
手作りなので、作るとき詰める時の衛生面の考慮や、出来るだけ早めに(手作りなら冷凍で2週間以内が目安)食べることが必要です。
そんなときは、つくりおきのレシピ本を参考にすると良いですよ!
自治体の配食サービスを利用
各自治体では、高齢者向けの配食サービスとして「一人暮らしの高齢者」や「高齢者のみの世帯」を中心にお食事を届けてくれるサービスがあります。
具体的には、各市区町村が選んだ配食弁当の事業者が、高齢者の状況に応じて週1日から7日(年末年始を除く毎日)まで、朝食、昼食及び夕食を自宅まで配達するとともに、安否確認を行うサービスです。
自治体の配食サービスは、各市区町村が独自で行っているものなので、地域によって利用条件やサービスの内容は異なります。
自分が対象になるのか、利用料金などは「地域包括支援センター」又は各「居宅介護支援事業所」に相談してケアマネージャーを通して調べることが出来ます。
民間の配食サービスを利用
市町村など自治体が運営している配食サービスが適用外となってしまったり、サービス内容に不足を感じている場合は、民間の配食業者を利用している方も多いです。
料金的には、自治体が運営しているものよりは少し高くなる場合が多いです。
その分「配達の時間」、「弁当の内容」に融通が利いたり、安否確認等含めて、利用者への個別対応の幅も大きい印象があります。
配食サービスを実際に利用されている方の多くは、
・定期的に人が来てくれるので、倒れたときなど緊急時の安心感が得られるようになった。
・宅配が届くので人と話す機会が増えた、
・お弁当を食べる習慣により生活が規則正しくなった
など嬉しい効果も体験談としてお話しされています。
遠距離介護「食事サポート」を成功させるには
遠距離介護では、多くの方が食事のサポートを行っています。
要介護者が、1番楽しいと感じるのは「食事を食べているとき」という結果が得られたデータもあるくらい要介護者にとっては食事はとても大切なものです。
また、同様のアンケートで、介護者は要介護者が美味しく食べてくれた時に喜びを感じるという結果も出ています。
介護の中で「食事」は「介護する人」と「介護される人」にとって笑顔を増やすカギになります。
おすすめなのは、作り置きと配食サービスなどを組み合わせて利用することです。
作り置きが出来ない時は、出来れば2種類くらいの配食サービスを定期的に変えながら利用するのも1つです。
わたしも、高齢者向けの冷凍宅配食を続けて食べたことがありますが、どんなにバリエーション豊かに献立を考えたものでも、なぜか似たような味に感じられて飽きがきてしまうことがあります。
そんな時、似たような内容であっても、違う会社のものであればやっぱりまた新鮮な気持ちで食べられるので美味しく感じられるのです。
家族の作り置きの場合は、食べなれた味でそれだけでも食べられますが、やはり配食サービスの味はしばらく続けると飽きてしまう方も少なくないと思います。
可能であれば、お気に入りの会社を2社ほど選んで定期的に変えてあげると更に充実すると思います。
まとめ
今回は、「遠距離介護」のメリット・デメリット、また実際に遠距離介護をされている方がどのように食事のサポートを行っているかなどをまとめました。
遠距離介護の成功のためには、日ごろからの「コミュニケーション」がカギになります。
普段から、(出来れば介護が必要になる前から)親とのコミュニケーションをしっかりと行い、親の想いをくみ取る努力も必要です。
日頃から、親の好きなもの・食べ物・付き合っている友人関係・趣味などコミュニケーションをとることで引き出しておけると介護がずいぶんと楽になると思います。
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