在宅介護で起きるトラブルの1つに「床ずれ」があります。
医学的には「褥瘡(じょくそう)」と呼ばれる症状です。
床ずれは一度出来てしまうと中々治りにくいので、「予防」が何より大切です。
また床ずれが出来てしまった場合も、早期発見、早めに対策・治療を行うことで重症化を防ぐことが出来ます。
介護をする側のご家族が床ずれの正しい知識を持つことが予防の第一歩です。
今回は、在宅介護をされているご家族に床ずれの治療・予防に関する知っていて欲しいことをまとめました。
また、私が病院勤務時代に褥瘡患者さんにおすすめしていた栄養剤などもご紹介します。
床ずれ(褥瘡)とは?
寝たきりや車いすなど自分で体の向きを変えられない状態が続く場合に、いつも同じ場所が圧迫されたり、摩擦があることで、部分的に血流が悪くなり、皮膚の一部が赤い色味を帯びたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。
想像しただけで恐ろしいなぁ。。
病院でせっかく良くなっても、自宅へ帰ってしばらくすると、再び床ずれができて入院になるケースも非常に多いのです。
それだけ在宅での床ずれ予防のケアは難しいんですよね。
床ずれが起きるメカニズム
人間の肌ってそんなに弱いものなのかしら?
皮膚というのは、いくつかの層から出来ています。
一番表面が、皮膚の油の膜と書く「皮脂膜」
その下に角質とよく言われる「角層」
次が、表面の皮膚と書く「表皮」
その下が、真実の皮と書く「真皮」となっています。
この、表皮と真皮の間の結合が弱くなってしまうのが床ずれの始まりです。
床ずれの原因は?
皮膚への持続的な圧迫
長時間同じ姿勢でいること、補装具等の長時間の使用などによる同じ部位の皮膚の長時間の圧迫。
皮膚の湿った不潔な状態
オムツによる皮膚のムレ、発汗や排尿・排便時の皮膚の汚れなど。
皮膚への摩擦
寝衣のしわや、ベッド上で長時間体を起こしたり、座る状態の時のずり落ち。
低栄養状態
十分な栄養摂取が行えずに栄養不良による皮下脂肪の減少。
ビタミン・ミネラル等の微量元素の不足など。
低栄養っていろいろとこわいのね。
その結果、床ずれを防ぐための皮膚には栄養がいき渡らず、どんどん悪化してしまうんです。
▼こちらの記事で「高齢者の食事の必要量(カロリー)」を解説しています▼
“あなたが作る介護食足りていますか?!”
床ずれができやすい場所
身体の中で、床ずれのできやすい場所がいくつかあります。
骨が出っ張っていて、皮膚が薄いところです。
特に注意が必要なのは、お尻の骨です。
普段歩行可能で活動している人は、お尻の筋肉が発達していますが、寝たきり状態になると、お尻の筋肉が萎んできます。
おしりの筋肉が衰えていくと、「仙骨(お尻の出っ張った骨)」が出っ張ります。
その出っ張った部分が長時間圧迫されると、床ずれへと悪化していきやすいのです。
そりゃ朝、「いててて・・」となるわけだなぁ。
出来てしまった床ずれの治療
床ずれは何科にかかる?
必ず早期に、病院で診てもらいましょう。
床ずれは、医療用語で「褥瘡(じょくそう)」と言います。
国内の多くの医療施設に「褥瘡対策チーム」が設置されており、治療の際には、医師の他にも、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、薬剤師など多くの職種が参加し、互いに連携して行う場合が多いです。
「褥瘡外来」がある場合は、そちらで。
それ以外の場合は、形成外科、皮膚科、外科がいちばんの対象になるかと思います。
おすすめの市販薬はある?
褥瘡に使えるぬり薬(外用剤)には様々なものがあります。
市販薬も販売されています。
皮膚が少し赤い程度の軽い床ずれであれば市販薬で、しばらく様子を見てもよいでしょう。
基本的には、自己判断はお勧めしません。
医師、看護師と相談しながら、治療効果をみて判断していくことが大切です。
「これくらいなら、市販薬でなんとかなるだろう」と甘く見ずに出来るだけ早く、医療機関にかかることをおすすめします。
予防のためのアイテムとして市販のものを利用するのは良いと思います。
必要な栄養は?
床ずれからひどい褥瘡となってしまった場合、十分な栄養が摂れていない場合は栄養不足により治りが遅くなってしまいます。
褥瘡を治すにはタンパク質、糖質、脂質をはじめとして栄養がとれていること、ビタミン類、微量元素などさまざまな栄養素が必要です。
この栄養素だけを摂取していればよいわけではなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂取する必要があります。
そんな時は栄養補助食品も利用しましょう!!
わたしが病院勤務時代に、褥瘡患者さんに勧めていたのは微量元素を含む栄養剤です。
アバンドって何?
アバンドは、日本発の「HMB」配合の栄養機能食品です。
たんぱく質やコラーゲンを合成促進させるアルギニンとグルタミンも高配合されています。
創傷治療や術後の栄養補助として、医療現場で利用されています。
「HMB」は、必須アミノ酸の一種のロイシンの摂取により体内で生成されます。
たんぱく質の合成促進作用や、筋繊維の修復など、筋肉維持に大きく作用する栄養素です。
低栄養状態の高齢者で、褥瘡という傷をもつ高齢者には非常に有効な栄養補助食品と言えます。
当時は「アバンド」が販売されたばかりで、高価だったため、あまり多くの症例で試すことが出来なかったのですが。
試した方の多くは、かなり改善の兆候が見られたので驚かされた経験があります。
もちろん看護師さん等の医療ケアあってのものですが。
床ずれ予防のためには
おすすめの福祉用具
床ずれ防止に有効な用具として、マットレス、クッション、体位変換器などがあります。
マットレス
床ずれ防止用にマットレスは、マットの広い面で支えたり、パッドが膨らんだり縮んだりすることにより、体があたる場所を変えるという仕組みで床ずれを防止します。
クッション
床ずれ防止用具のクッションは、体が動いた時に形が崩れず、反発が少ないものを身体に挟み込んで使用します。
体位変換器
床ずれ防止用具の体位変換器は、体位変換時の摩擦を抑えるという目的で使用します。
スライディングシートと呼ばれるものなどを使います。
床ずれ防止福祉用具は介護保険が使える?
要介護2以上の方であれば介護保険サービス内で負担額も少なくレンタル可能です。
要支援状態の方でも一定の条件を満たす場合は「例外給付」という場合もあります。
まずは、ケアマネージャーに相談してみて下さい。
レンタル品に抵抗がある場合は自費にはなりますか、各社から販売されています。
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おすすめの栄養補助食品
床ずれを予防するには、低栄養改善が大切です。
高齢者は食が細くなり、1回に食べられるお食事の量が限られてしまうため3食のお食事だけでは、栄養が不足しがちです。
高栄養の飲み物やアイスなどを間食として食べるのもおすすめです。
床ずれチェック方法
まずは、悪化する前に「早めに」病院など医療機関に行き相談しましょう。
普段体位変換するとき、おしりのでっぱった部分(仙骨)が、赤や紫色になっていたら危険です。
そこを指で3秒ほど軽く押して、押した時に白っぽくなり、離すと赤くなれば大丈夫。
一方、押しても白くならず、赤や紫のままなら、初期の床ずれの可能性があります。
そうなったら、すぐに専門の医療機関に相談してください。
参考にこまめにチェックしてみなくちゃね!
まとめ
今回は、在宅介護をされているご家族に床ずれの治療・予防に関する知っていて欲しいことをまとめました。
病院勤務時代には、多くの「褥瘡」に悩む患者さん、というよりその患者さんのご家族の方にお会いしてきました。
床ずれ(褥瘡)は1度できると、低栄養状態のかたこそ本当に治るまで時間がかかります。
予防に勝るものはないです!!
今回の記事をぜひ参考にしながら、在宅介護に臨んでくださいね。
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