認知症の初期症状とは?物忘れとの違い・家族が気づいたサイン【実体験】
本記事では、「認知症」と「物忘れ」の違いをわかりやすく解説するとともに、私の叔母がアルツハイマー型認知症と診断されるまでに実際に見られた初期症状をご紹介します。
「年齢のせいかな」と思って見過ごしていた出来事が、振り返ると認知症のサインだった――。
家族だからこそ気づける変化もあります。
大切なご家族のために、認知症の初期症状を知り、早めの受診につなげる参考になれば幸いです。
スーパーへ出かけた叔母が帰ってきませんでした
私の叔母は、一人暮らしをしていました。
ある日、いつものように車でスーパーへ買い物に出かけました。
ところが、いつまで経っても帰ってきません。
家族みんなで探し回り、警察にも相談しました。
数時間後、叔母はスーパーとはまったく違う場所で見つかりました。
本人に理由を聞くと、
「家に帰ろうと思ったけど、帰り道がわからなくなった。」
そう話しました。
本人は少し照れ笑いをしていましたが、家族は命に関わることではないかと、とても心配しました。
この出来事をきっかけに病院を受診し、叔母はアルツハイマー型認知症と診断されました。
振り返ると、それ以前にも認知症のサインはいくつもあったのです。
認知症とは
認知症とは、脳の病気や障害によって認知機能(記憶・判断・理解など)が低下し、日常生活に支障が出る状態のことです。
年齢を重ねるほど発症リスクは高くなりますが、「年を取れば誰でも認知症になる」というわけではありません。
また、「物忘れ=認知症」でもありません。
年齢による物忘れと認知症では特徴が異なるため、その違いを知っておくことが早期発見につながります。
「物忘れ」と「認知症」の違い
年齢とともに起こる物忘れは、多くの方に見られる自然な変化です。
一方、認知症では「経験したこと自体を忘れてしまう」「時間や場所がわからなくなる」など、日常生活に影響する症状が現れます。
次の表は、代表的な違いをまとめたものです。
物忘れの特徴
✅ 経験したことの一部を忘れる
✅ 「何を食べたか」が思い出せない
✅ 約束をうっかり忘れる
✅ 人の名前が出てこない
✅ ヒントがあれば思い出せる
「物忘れ」と「認知症」の一番大きな違い
加齢による物忘れは、ヒントがあれば思い出せることが多いのに対し、認知症では出来事そのものを忘れてしまうことがあります。
次の特徴を参考に、違いを確認してみましょう。
認知症の特徴
✅ 経験したこと自体を忘れる
✅ 食事をしたこと自体を忘れる
✅ 約束したこと自体を忘れる
✅ 相手が誰かわからなくなる
✅ ヒントがあっても思い出せない
すべて当てはまるから認知症、というわけではありません。
以前と比べて変化が続いている場合や、日常生活に支障が出ている場合は、一度かかりつけ医や専門医へ相談してみましょう。
家族が気づきやすい認知症の初期症状
認知症は突然始まる病気ではありません。
初期の頃は、「年齢のせいかな」「疲れているだけかな」と見過ごされやすい小さな変化から始まります。
実際に認知症の方のご家族からは、次のような変化がよく聞かれます。
- 同じ話を何度もする
- 同じ質問を繰り返す
- 約束を忘れることが増えた
- 慣れた道で迷うようになった
- 料理や計算のミスが増えた
- 怒りっぽくなった
- 趣味に興味を示さなくなった
- 財布や通帳を盗まれたと疑うようになった
実際に叔母に現れた認知症の初期症状【実体験】
私の叔母は78歳を過ぎた頃、アルツハイマー型認知症と診断されました。
診断されるまでは一人暮らしをしており、隣に住む家族のサポートを受けながら生活していました。現在は施設で生活しています。
振り返ると、「あれ?」と思う出来事はいくつもありました。当時は「年齢のせいかな」と思ってしまいましたが、今考えると認知症の初期症状だったのだと思います。
初期症状① 同じことを何度も聞く
帰省した際、叔母と30分ほど話をしていると、
「今はどこに住んでいるの?」
「何日に帰るの?」
同じ質問を2回、3回と繰り返しました。
私が同じ答えを返しても、毎回初めて聞いたような表情をしていたことを覚えています。
そのときは「年齢を重ねるとこんなものなのかな」と深く考えませんでした。
ですが、認知症になると新しい出来事を記憶することが難しくなるため、このように同じ質問を何度も繰り返すことがあります。
初期症状② 怒りっぽくなった
母から電話で、
「最近、叔母がすごく怒りっぽくなった。」
という話を聞きました。
以前なら気にならなかったようなことでも強く怒ったり、人の話を聞き入れなくなったりすることが増えていたそうです。
当時は、
「歳を取ると頑固になるからね。」
と家族みんなで話していました。
しかし認知症では、不安や混乱から感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽくなることがあります。
今思えば、これも認知症のサインの一つだったのだと感じています。
初期症状③ 帰り道が分からなくなった
ある日、叔母は車で近所のスーパーへ買い物に出かけました。
ところが、いつまで待っても帰宅しません。
家族総出で探し回り、警察にも相談しました。
数時間後、叔母はスーパーとはまったく違う場所で見つかりました。
叔母に何があったのか聞くと、
本人はどこか照れくさそうに笑いながら話していました。
一方で家族は、「事故に遭っていたら」「夜になっていたら」と考え、本当に生きた心地がしませんでした。
この出来事をきっかけに病院を受診し、叔母はアルツハイマー型認知症と診断されました。
家族は本人を責めることはできませんでした。
それよりも、「もっと早く気付いてあげられなかったのではないか」という後悔の気持ちの方が大きかったことを今でも覚えています。
見当識障害とは?
叔母のように、慣れた場所なのに帰り道が分からなくなる症状は、「見当識障害(けんとうしきしょうがい)」と呼ばれます。
見当識とは、
・今がいつなのか(時間)
・ここがどこなのか(場所)
・目の前の人が誰なのか(人物)
を正しく理解する力のことです。
認知症が進行すると、この見当識が低下し、
・慣れた道で迷う
・買い物から帰れなくなる
・自宅のトイレや自分の部屋が分からなくなる
といった症状が現れることがあります。
「たまたま道を間違えた」と思っていても、何度も繰り返すようであれば、一度医療機関へ相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、「認知症」と「物忘れ」の違いや、認知症の初期症状について、私の叔母の実体験を交えながらご紹介しました。
認知症は誰にでも起こり得る病気です。
だからこそ、「まだ大丈夫だろう」と思い込まず、小さな変化に気付くことが早期発見につながります。
現在では、一部のアルツハイマー病では進行を遅らせることを目的とした治療も行われるようになっています。
そのためにも、気になる症状がある場合は早めに医療機関へ相談することが大切です。
また、認知症は治療だけでなく、日頃の生活習慣も重要だと考えられています。
特に、バランスの良い食事や十分なたんぱく質・魚に含まれるDHA・EPAなどの栄養を意識することは、脳の健康を維持するためにも大切です。
認知症予防に役立つ食事については、こちらの記事で管理栄養士の視点から詳しく解説しています。
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