高齢者の低栄養とは?原因・症状・改善方法|管理栄養士がわかりやすく解説
はじめに
「最近、親の食事量が減ってきた…」
「以前より痩せてきた気がする」
「風邪をひきやすくなった」
このような変化は、低栄養が原因かもしれません。
低栄養とは、体に必要なエネルギーやたんぱく質などの栄養が不足している状態のことです。
高齢になると食欲の低下や噛む力・飲み込む力の低下などにより、知らないうちに低栄養へ進行してしまう方は少なくありません。
低栄養は体重が減るだけでなく、
・筋力低下
・転倒
・誤嚥性肺炎
・床ずれ(褥瘡)
・寝たきり
など、介護が必要になるきっかけにもつながります。
今回は管理栄養士の視点から、
- 高齢者の低栄養とは
- 原因
- 症状
- 改善方法
- 栄養補助食品の活用方法
についてわかりやすく解説します。
高齢者の低栄養とは?
低栄養とは、健康を維持するために必要なエネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足している状態です。
「たくさん食べているから大丈夫」と思われがちですが、高齢者では食事量が少しずつ減ることで、気付かないうちに低栄養になるケースも少なくありません。
特に高齢になると、
- 食欲が落ちる
- 噛みにくい
- 飲み込みにくい
- 食事を作るのが大変になる
などの理由から、食事内容が偏りやすくなります。
体重が少しずつ減ってきたり、筋肉量が減ってきたりした場合は、早めに食事内容を見直すことが大切です。
在宅要介護者の約4人に3人が低栄養リスク
実は、在宅で介護を受けている高齢者では、低栄養のリスクが非常に高いことが知られています。
食事量が減っていても、
「年だから仕方ない」
「食べられるだけ食べればいい」
と考えてしまい、十分な栄養が補えていないケースも少なくありません。
低栄養が続くと、
- 体力の低下
- 筋力低下
- 活動量の低下
が起こり、さらに食欲が落ちるという悪循環に陥ってしまいます。
「最近痩せてきたかな?」という段階で気づくことが、低栄養予防の第一歩です。
高齢者が低栄養になる主な原因
低栄養にはさまざまな原因があります。
食事量の減少
年齢とともに食欲が低下し、一度に食べられる量が少なくなります。
特に朝食を抜いたり、昼食を簡単に済ませたりすると、1日に必要な栄養を十分に摂ることが難しくなります。
噛む力・飲み込む力の低下
歯の本数が減ったり、入れ歯が合わなくなったりすると、お肉や野菜などを避けるようになります。
また、飲み込みにくさ(嚥下機能の低下)があると、水分やたんぱく質不足につながりやすくなります。
病気や治療の影響
感染症や手術後、慢性疾患などでは体が多くのエネルギーを必要とします。
一方で食欲は落ちやすく、栄養不足になりやすい状態です。
一人暮らし・調理の負担
一人暮らしでは、
「一人分作るのが面倒」
「簡単なものだけで済ませる」
という生活になりがちです。
その結果、ご飯やパンだけなど炭水化物中心の食事になり、たんぱく質やビタミン・ミネラルが不足しやすくなります。
高齢者の低栄養サインを見逃さない
低栄養は、体からさまざまなサインを出しています。
次のような変化がないか確認してみましょう。
□ 最近体重が減ってきた
□ 食事量が減った
□ 疲れやすくなった
□ よく風邪をひく
□ 傷の治りが遅い
□ 筋力が落ちて歩くのが大変になった
□ 元気がなくなった
これらは加齢だけでなく、低栄養が関係していることもあります。
特に3〜6か月で体重が2〜3kg以上減っている場合は、一度かかりつけ医や管理栄養士へ相談することをおすすめします。
管理栄養士から一言
病院勤務時代、「年だから仕方ない」と思われていた方でも、栄養状態が改善すると表情や活動量が大きく変わる場面を何度も経験しました。
体重減少や食欲低下は、年齢だけが原因とは限りません。
「少し痩せてきたかな」と感じた段階で食事を見直すことが、低栄養を防ぐ大切なポイントです。
低栄養を放置するとどうなる?
低栄養は、「少し痩せるだけ」と思われがちですが、そのまま放置するとさまざまな健康問題につながります。
フレイル(虚弱)
低栄養が続くと筋力や体力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間である「フレイル」になりやすくなります。
フレイルは早めに気づいて栄養や運動を見直すことで改善が期待できます。
サルコペニア(筋肉量の減少)
たんぱく質不足や運動不足が続くと、筋肉量や筋力が減少する「サルコペニア」のリスクが高まります。
筋肉が減ることで、
- 転倒しやすくなる
- 骨折しやすくなる
- 歩く速度が遅くなる
など、日常生活にも大きな影響が出てきます。
誤嚥性肺炎
食事量が減ると筋肉だけでなく、飲み込むための筋肉も衰えやすくなります。
その結果、食べ物や唾液が気管に入りやすくなり、誤嚥性肺炎を起こすリスクが高まります。
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床ずれ(褥瘡)
低栄養になると皮膚や筋肉の回復力が低下します。
寝たきりの方では床ずれ(褥瘡)ができやすくなり、一度できると治るまでに時間がかかることもあります。
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「床ずれ(褥瘡)の予防と対策」
今日からできる低栄養対策
低栄養は毎日の食事を少し工夫するだけでも予防・改善につながります。
① 毎食たんぱく質を取り入れる
筋肉を維持するためには、たんぱく質が欠かせません。
おすすめの食品
- 卵
- 豆腐
- 納豆
- 魚
- 肉
- 牛乳・ヨーグルト
一度にたくさん食べるのが難しい場合は、3食に分けて少しずつ摂ることを意識しましょう。
② 「ちょい足し」で栄養アップ
食事量が増やせない方には、「ちょい足し」がおすすめです。
例えば、
- ご飯にしらすをのせる
- 納豆に卵を加える
- 味噌汁に豆腐を入れる
- うどんにツナを加える
- ハンバーグにチーズをのせる
など、普段の食事に少し加えるだけでも栄養価を高められます。
③ 間食を活用する
一度にたくさん食べられない場合は、間食も大切な栄養補給の時間です。
おすすめの間食
- ヨーグルト
- プリン
- バナナ
- チーズ
- アイスクリーム
「3食にこだわる」のではなく、食べられるタイミングで栄養を補うことを意識しましょう。
食事だけで不足するときは高栄養食品も活用しましょう
食事だけでは十分な栄養が摂れない場合は、高栄養食品を上手に取り入れる方法もあります。
病院や介護施設でも利用されている商品が多く、自宅でもネット通販やドラッグストアなどで購入できます。
管理栄養士おすすめ
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▶ 詳しくはこちら
「メイバランスとは?種類・効果・飲み方」
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少量でエネルギー補給ができ、味の種類も豊富です。
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褥瘡(床ずれ)や手術後など、回復期の栄養管理でも活用されています。
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管理栄養士から一言
病院勤務時代、「年齢だから仕方ない」と思われていた方でも、栄養状態が改善すると表情や活動量が変わる場面を数多く見てきました。
低栄養は早く気づき、早く対策することが何より大切です。
無理に食事量を増やすのではなく、その方が食べやすい方法を見つけながら続けていきましょう。
よくある質問
Q. 高齢者はどのくらいたんぱく質を摂ればいいですか?
体格や病気によって異なりますが、一般的には体重1kgあたり約1.0〜1.2g程度が目安とされています。
腎臓病などで制限が必要な方は、医師や管理栄養士に相談してください。
Q. 高栄養食品だけで栄養は足りますか?
高栄養食品はあくまで栄養補助食品です。
基本は毎日の食事を中心にし、不足分を補う目的で利用しましょう。
Q. 食欲がない日は無理に食べさせた方がいいですか?
無理に量を増やすと負担になることがあります。
少量でも食べやすいものや、栄養価の高い食品を取り入れることが大切です。
まとめ
高齢者の低栄養は、筋力低下や転倒、誤嚥性肺炎、床ずれなど、さまざまな健康リスクにつながります。
しかし、早い段階で気づき、食事内容や栄養補給を見直すことで予防・改善が期待できます。
まずは、
- 体重が減っていないか
- 食事量が減っていないか
- 元気や筋力が落ちていないか
を日頃から確認してみましょう。
「年齢だから仕方ない」と思わず、小さな変化に早めに気づくことが低栄養予防の第一歩です。
食事だけで不足する場合は、高栄養食品も上手に活用しながら、無理なく栄養状態を整えていきましょう。


