介護食

低栄養になってない? 高齢者の食事の必要量(カロリー)を解説!

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介護家族
介護家族
うちの母、あんまり食事を食べてくれなくて。
今の量で足りているのか心配。
管理栄養士
管理栄養士
在宅介護をしていて、お食事が足りているか不安を抱えている方多いですよね。

今回は、高齢者のお食事量の目安について解説します!
高齢者の栄養必要量を知って、低栄養を予防する方法を一緒に考えてみましょう。

管理栄養士
管理栄養士
コロナウイルスに負けない身体作りのためにも、栄養をしっかりとることは大切です!!

在宅介護は低栄養が起こりやすい?!

実は在宅で介護を受けている高齢者の7割が低栄養の状態にあるというデータがあります。

高齢者の低栄養は他人事ではありません

あなたが介護しているご家族はしっかりお食事を食べられていますか?

家族の介護をしていると、今のお食事量で足りているのか不安になることがあると思います。
でも、その現状を相談する場所や知識を得る機会がなかなかないのも現状です。

今回はそんなお悩みを解決するために、高齢者の一日に必要なお食事量(カロリー)や積極的にとりたいビタミンやミネラルについて詳しく解説します。

ぜひ、在宅介護のお食事面で活用してみてください。

高齢者に必要なお食事量(カロリー)

厚生労働省から出されている「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では高齢者は以下のような「推定エネルギー必要量」が設定されています。

高齢者といっても運動可能な方からベッド上で1日を過ごす方もいます。
必要な栄養量は1日の活動量によっても違いがあります。

この違いは『身体活動レベル』というレベル分けで分けられています。

<身体活動レベル>
Ⅰ(低い)生活の大部分が座位。静的な活動が中心の場合
Ⅱ(普通)座位中心だが、移動や立位作業、買物・家事・軽いスポーツ等を含む場合
Ⅲ(高い)移動や立位が多い場合。スポーツなど活発な運動習慣をもっている場合。

70歳以上男性 70歳以上女性
Ⅰ(低い) 1850kcal 1500kcal
Ⅱ(普通) 2200 1750
Ⅲ(高い) 2500 2000

ご家族に介護をされている方の多くは、生活の大半が座位かベット上かと思います。
その場合は身体活動レベルはⅠ(低い)にあたります。

70歳以上の身体活動レベルⅠ(低い)方の推定必要エネルギー必要量は
男性が1850kcal、女性が1500kcalです。

この値は1日に必要なエネルギー量ですから、1日3食召し上がると考えると・・・

1食につき男性は610kcal、女性は500kcal程が目安になります。

600kcalとなるとボリュームイメージはこのようなお食事です。
定食の感じだとこれくらい。

https://www.marukome.co.jp/recipe/special/eiyoshi/menu02/出典:marukomeHP

 

カレーなど単品料理だとこれくらいです。

https://www.marukome.co.jp/recipe/special/eiyoshi/menu01/marukomeHPより


ごはんの目安は
お膳に多めに1杯(180~200g)らいになります。

介護食を召し上がる方はお粥の方も多いと思います。
その場合はお
粥の水分量にもよりますがごはんの倍くらいの量が適量です。

管理栄養士
管理栄養士
この写真を見て、どう感じますか?

多い!!

そんな印象を持つ方が大半かと思います。

介護家族
介護家族
ごはんの量なんて絶対こんなに食べられていないわ!
管理栄養士
管理栄養士
食が細くなった高齢者にとっては、毎食この量は大変です。
でも実際にはこれくらい必要っていう目安は伝わったかと思います。

栄養のために、「無理にでも食べさせろ!!」ということではありません。

でも…
・食べられなくなっている
・食べる量が不足している

そんな状況にあるのなら
何かしら「工夫」が必要になってくることは気にとめておいてほしいのです。

具体的にいえば・・・

・間食を食べてお食事回数を増やす
・高栄養食品などを用いて効率よく栄養を摂る

などが必要になってきます!

高齢者が積極的に摂りたいビタミン・ミネラル

高齢になると、必要な全体のカロリーは減ってきますがたんぱく質やビタミン・ミネラル量は成人の量とほとんど変わりません。

少食になり、食事量が減ってしまいがちな高齢者は、全体のカロリー不足はもちろんですがそれらに伴ってビタミンやミネラルも不足している方が多いです。

カルシウム

カルシウムの不足は骨粗しょう症を招きます。
高齢者の骨折は、寝たきりの原因にもなるので要注意です。
乳製品に含まれるカルシウムは吸収率が高いので、間食などで乳製品を取りいれるのもおすすめです。

ビタミンD

ビタミンDは小腸におけるカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。
不足なく摂ることで骨粗しょう症を予防できます。

ビタミンDは干ししいたけやきくらげ等の植物性食品に多く含まれていますが、どれも介護食を食べる状態の方のお食事では敬遠されがちな食品です。

ある高齢者施設の入居者を対象とした調査では、ビタミンDが不足している割合は80%以上であったというデータもあります。

ビタミンDは皮膚に紫外線があたることでも合成されます。
自宅で寝たきりの状態になると日光浴が難しい場合もあると思いますが、1日15分程度でも良いのでお日様に当たるのも効果的です。(窓越しでもOKです)

鮭やサンマなどにも含まれているので、骨までまるごと食べられる魚の缶詰はおすすめ食材です!

亜鉛

高齢者は食事の摂取量の現象に伴って、亜鉛不足が起こりやすくなります。
不足すると食欲不振・味覚障害が起こりやすくなります。
また、寝たきりの高齢者がなりやすい『床ずれ(褥瘡)』の治りが遅くなりやすいです。

高齢者の方は濃い味を好む方が多いと言われていますが、実は亜鉛不足による味覚障害によって味を感じにくくなってしまっている場合も多いです。


牡蠣や動物性の食品、海苔に多く含まれていますが、介護食のメニューだとどうしても不足しがちです。
こちらはサプリメン等も利用しながら補いましょう。

ビタミンB12

ビタミンB12は魚介類、レバー、海苔(のり)に多く含まれます。

植物性の食品には海藻類の海苔を除きほとんど含まれないため、お野菜中心でお肉やお魚を食べる機会が少なくなってしまうと不足することがあります。

不足すると、認知症の症状が出てくることが知られています。
お食事量が減っても主菜として「お魚」や「お肉類」を中心としたたんぱく質のおかずは出来るだけ優先的に食べましょう。

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たんぱく質・亜鉛・鉄・カルシウム
まとめて補える優れもの!!

低栄養予防のために

https://healthy-food-navi.jp/?page_id=12出典:栄養指導Navi

 

国立長寿医療研究センターが、在宅で介護を受けている高齢者を対象に平成24年に行った調査によれば、「低栄養」の人が37.4%、さらに「低栄養のおそれあり」も加えた割合は、約7割にも及ぶことがわかりました。

高齢者が低栄養になることでの最も悪い影響は、死亡リスクが高くなることです。

低栄養になると体重は減少し、免疫機能の低下を招きます。
また、体力が低下すると運動機能の低下に繋がります。
現在かかっている病気がある人はそれらの悪化も招く恐れがあります。

免疫機能が低下すると風邪やインフルエンザなどにも感染しやすくなり、体力がないと肺炎など重症化しやすくなり命をおびやかす危険性があります。

新型コロナウイルスなどは、免疫力が低下している高齢者の方は特に重症化しやすく、死にも繋がるリスクが潜んでいます。

低栄養の予防には、バランスの良い食事を食べることはもちろんですが、3食のお食事で栄養を摂ることが難しい場合は上手に間食を利用するのも1つです。

高栄養のゼリーや飲料、高齢者が不足しやすいビタミンやミネラルが添加された補助食品を利用してみると良いでしょう。

私の勤務する通所施設でも、低栄養状態から回復された方の多くは高栄養の補助食品を利用されています。
食事量が少なくなり、栄養が不足した状態では食べることもままなりません。
高栄養の補助食品を利用しながら、効率よく栄養補給をすることで改善が早まることが多い印象です。

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毎日の三度の食事をバランスの良い内容で揃えることは、非常に難しいことです。

全て「手づくり」にこだわりすぎずに、市販の介護食のレトルト品を利用したり、高齢者向けの宅配食を利用してみたりするのもお勧めです。

管理栄養士
管理栄養士
管理栄養士が監修した高齢者向け宅配食も多数ありますよ!

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まとめ

今回は、高齢者の一日に必要なお食事量(カロリー)やそのほか積極的にとりたいビタミンやミネラルについて解説いたしました。

高齢者に必要なお食事量を実際に写真で見ると、想像以上にボリューム的に多いことを感じて頂けたかと思います。

低栄養は高齢者にとって深刻な問題です。
あなたの大切なご家族のお食事量・栄養は足りているでしょうか?

管理栄養士
管理栄養士
少しでも不安があるときは、そのまま見過ごさずに必ずかかりつけの医師や管理栄養士に相談してみてくださいね。

 

▼”やわらかダイニング“は食事について管理栄養士に気軽に相談できます
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