離乳食を介護食として使っても大丈夫?管理栄養士が活用法と注意点を解説
介護食を探していると、
「離乳食の方が種類が多いな」
と感じたことはありませんか?
実際にドラッグストアやスーパーでは、介護食コーナーよりも離乳食コーナーの方が充実していることも少なくありません。
そのため、
・離乳食を介護食として使っても大丈夫?
・柔らかさは似ているの?
・栄養は足りるの?
と疑問に感じる方も多いと思います。
私自身、管理栄養士として病院や高齢者施設で勤務していた経験がありますが、ご家族から同じ質問を受けることがよくありました。
ただし、どんな方にもおすすめできるわけではありません。
使い方を間違えると、栄養不足につながることもあります。
そこで今回は、
・離乳食と介護食の違い
・離乳食を介護食として使える人
・利用するときの注意点
について管理栄養士の視点からわかりやすく解説します。
結論|離乳食は「副菜」としてなら活用できる
先に結論をお伝えすると、離乳食は介護食の代わりとして利用することは可能です。
ただし、
・主菜の代わりにはしない
・栄養不足に注意する
・噛む力や飲み込む力に合ったものを選ぶ
という条件があります。
介護食が不足している日の一品や、食欲がない日の副菜として活用するのは十分に選択肢になるでしょう。
離乳食と介護食は何が違うの?
柔らかさや見た目が似ているため、離乳食と介護食は同じように感じるかもしれません。
しかし、本来の対象者は大きく異なります。
離乳食は赤ちゃん向け。
介護食は高齢者向けです。
そのため、栄養設計にも違いがあります。
今回、実際に市販の離乳食と介護食を比較してみました。
比較した商品
【離乳食】
ピジョン「ふんわり鶏つくね」
【介護食】
やさしい献立「肉じゃが(区分2:歯ぐきでつぶせる)」
| 離乳食「ふんわり鶏つくね」 | 介護食「肉じゃが」 | |
| 調理方法 | お湯で1~2分 500Wで10~20秒 |
お湯で2分 500Wで20秒 |
| 内容量 | 80g | 100g |
| エネルギー | 36kcal | 85kcal |
| たんぱく質 | 1.8g | 3.8g |
| 食塩相当量 | 0.3g | 0.8g |
比較すると、最も大きな違いは栄養価です。
離乳食は、
・エネルギーが少ない
・たんぱく質が少ない
・塩分が少ない
という特徴があります。
これは赤ちゃんの体に合わせて作られているためです。
一方、介護食は高齢者が必要な栄養を摂れるように設計されています。
つまり、柔らかさが似ていても栄養面は大きく異なるのです。
実際に食べ比べてみた感想
管理栄養士として実際に食べ比べてみました。
正直なところ、
「離乳食は味が薄くて食べられない」
という印象はありませんでした。
むしろ素材の味が活かされていて、自然なおいしさを感じます。
介護食は比較的甘めの味付けの商品が多いですが、離乳食も十分食べやすい味付けでした。
また、12か月頃向けの離乳食と、ユニバーサルデザインフード区分2(歯ぐきでつぶせる)の介護食は、実際の固さや大きさもかなり似ています。
とろみの付き方もよく似ており、形態だけを見れば介護食として活用できる商品も多いと感じました。
離乳食を介護食として使える人
では、どのような方なら離乳食を介護食として活用できるのでしょうか。
私の考えでは、
ユニバーサルデザインフード区分1
「容易にかめる」
または
区分2
「歯ぐきでつぶせる」
程度の食事を食べている方であれば、利用できるケースが多いと思います。
実際に病院で勤務していた頃も、離乳食と嚥下調整食を同じ献立で展開し、味付けだけを変えて提供することがありました。
柔らかさや形態という点では、離乳食と介護食には共通する部分が多いのです。
離乳食を介護食として使うときの注意点
離乳食は介護食として活用できる場合がありますが、いくつか注意点があります。
特に気を付けたいのは、
・栄養不足
・食べる方の状態とのミスマッチ
です。
主菜ではなく「もう一品」として活用する
離乳食は赤ちゃん向けに作られているため、高齢者向けの介護食と比べるとエネルギーやたんぱく質が少なくなっています。
そのため、
「今日はこれだけでいいかな」
と主菜代わりにしてしまうのはおすすめできません。
例えば今回比較した商品でも、
離乳食:36kcal
介護食:85kcal
と大きな差がありました。
たんぱく質量も半分程度です。
食欲がない日や介護食に一品追加したいときの副菜として活用するのは良い方法ですが、離乳食だけで食事を済ませてしまうと低栄養につながる可能性があります。
特に高齢者は低栄養になりやすく、
・筋力低下
・体力低下
・免疫力低下
につながることもあります。
離乳食を利用するときは「もう一品」として考えるのがおすすめです。
月齢表示だけで選ばない
離乳食には、
・7か月頃
・9か月頃
・12か月頃
など月齢表示があります。
しかし、この表示は赤ちゃん向けの目安であり、高齢者向けの介護食区分とは異なります。
同じ12か月向けの商品でも、
・具材の大きさ
・固さ
・とろみの強さ
は商品によって違います。
そのため、
「12か月向けだから大丈夫」
と判断するのではなく、実際に中身を確認することが大切です。
初めて利用する場合は少量から試し、むせ込みや飲み込みの様子を確認しましょう。
飲み込みに不安がある方は専門職へ相談を
食べる力や飲み込む力には個人差があります。
特に、
・食事中によくむせる
・お茶や水で咳き込む
・食後に声がガラガラする
といった症状がある場合は、離乳食が合うとは限りません。
その方に合った食事形態が必要になることもあります。
飲み込みに不安がある場合は、かかりつけ医や管理栄養士、言語聴覚士などの専門職へ相談しましょう。
管理栄養士からひとこと
介護食は種類が少なく、毎日の献立に悩むこともあります。
そんなとき、離乳食は選択肢のひとつになります。
私自身も実際に比較してみて、
と感じました。
特に柔らかさやとろみは介護食に近い商品も多く、食欲がない日や献立に変化を付けたいときには役立つと思います。
ただし、離乳食はあくまでも赤ちゃん向けの食品です。
栄養価や食事量まで介護食と同じではありません。
大切なのは、
「離乳食か介護食か」
ではなく、
「その方が安全に、おいしく食べられるか」
です。
状態に合わせながら上手に活用していきましょう。
まとめ
今回は、離乳食を介護食として利用できるのかについて解説しました。
離乳食は、
というメリットがあります。
一方で、
という点にも注意が必要です。
介護食のレパートリーに悩んだときは、離乳食コーナーをのぞいてみるのもひとつの方法です。
食べる方の状態に合わせながら、無理なく活用してみてください。
合わせて読みたい
介護食だけでは足りない?高齢者の低栄養を防ぐポイント
離乳食は介護食の代わりとして活用できる場合がありますが、エネルギーやたんぱく質が不足しやすい点には注意が必要です。高齢者に必要な栄養量や低栄養予防のポイントを解説しています。
通販で買える高齢者向け高栄養食品
食事量が減っている方や、栄養不足が心配な方へ。少量でもエネルギーやたんぱく質を補いやすい高栄養食品を紹介しています。
レトルト介護食の比較|管理栄養士がおすすめを解説
介護食選びに迷ったらこちら。市販のレトルト介護食を実際に比較し、味や食べやすさの違いを解説しています。


