本記事のテーマ
市販のレトルト離乳食を介護食として利用できるのか。
管理栄養士の目線で食べ比べてレポートします。
『レトルト介護食』と『レトルト離乳食』
介護食のレトルト品とよく比較されるものに離乳食のレトルト品があります。
たしかに柔らかさや具材の形態などよく似ています。
ドラッグストアなどでも介護食よりも離乳食の方が品数も豊富な気がします。
介護食のレトルト商品バリエーションが少ないので、離乳食が活用出来ればメニューが増えるので嬉しいところですが、可能なのでしょうか。
実際の商品を比較しながら管理栄養士の目線で検討してみました。
市販のレトルト離乳食とレトルト介護食の違い
今回は写真の2つの商品を比較してみました。
離乳食 ピジョン「ふんわり鶏つくね」
12ヵ月頃からの赤ちゃんのかむ力の発達に合わせて、具材の大きさや固さを考えて調理されています。
赤ちゃん向けなので、着色料、香料、保存料は使用しておらず、素材の味を活かしたうす味仕立てです。
介護食 やさしい献立「肉じゃが」
こちらはユニバーサルデザインフードの区分2「歯ぐきでつぶせるかたさ」のものです。
離乳食「ふんわり鶏つくね」 | 介護食「肉じゃが」 | |
調理方法 | お湯で1~2分 500Wで10~20秒 |
お湯で2分 500Wで20秒 |
内容量 | 80g | 100g |
エネルギー | 36kcal | 85kcal |
たんぱく質 | 1.8g | 3.8g |
食塩相当量 | 0.3g | 0.8g |
調理方法や時間は全く同じです。
大きな違いは以下の通りです。
・離乳食の方がエネルギー量が低い
・離乳食の方がたんぱく質量が低い
・離乳食の方が食塩相当量が低い(薄味)
離乳食は必要エネルギー量が少ない赤ちゃんを対象としているので大人向けの介護食よりも明らかに低カロリーに作られています。
また赤ちゃんは腎臓機能も大人に比べるとまだまだ未熟ですからそれに合わせてたんぱく質や塩分も低くなっています。
実際に食べてみて、離乳食が味が薄いか確認しましたが、この商品に関して言えば味がしない、明らかに味が薄くて美味しくないという感じはしませんでした。
介護食は甘めの味付けが多いですが、離乳食も味は似ていると思います。
離乳食は食塩相当量が少ない分、食材の味を感じやすいと思います。
かたさに関しても、12か月の赤ちゃんを対象にしている離乳食と歯ぐきでつぶせるかたさの介護食は似ています。
上の写真にあるように、実際の内容物の大きさやかたさも比較しましたがよく似ていました。
とろみに関しても、離乳食も赤ちゃんが食べやすいようにとろみがついている状態だったので介護食に使える形態だと思います。
離乳食のレトルト品でしゃばしゃばの水分の状態の物は見かけたことがないので、比較的多くの離乳食で介護食同様のとろみ感がついていると思います。
※飲み込み(嚥下)に問題がある場合は適切なお食事が向いているのでかかりつけの医師や管理栄養士にしっかりと相談してください。
離乳食を介護食として利用するには
介護食を食べている人の噛む力や飲み込む力の状態にもよりますが、
ユニバーサルデザインフードの区分1「容易にかめる」、区分2「歯ぐきでつぶせるかたさ」を食べている方くらいであれば、12か月ごろの月齢向きの離乳食を介護食として使用するのは十分可能だと思います。
私自身は離乳食は薄味の分、食材の味が感じやすくつくられている印象を受けたので無理に味をたしたりしなくても、普段の介護食の味付けと少し変わって食べる側にも良いのではないかと感じています。
ただし、栄養面を考えて以下の点に注意して!という前置きありで。
離乳食を使用する場合はあくまでも副菜に。
離乳食は介護食として主菜になるほどのエネルギーはありません。
何か1品付足したいな、そんなときのもう1品として利用しましょう。
主菜として利用してしまうと明らかにカロリーやたんぱく質が不足して低栄養を招きます。
副菜であれば、多少薄味でも調味料を足さずに箸休めとして食べやすいかと思います。
▼こちらの記事で「高齢者の食事の必要量を写真で解説!」をご紹介▼
低栄養予防の参考にしてみて下さい。
食べる人の噛む力・飲み込む力に合わせたものを。
離乳食には月齢の区分けがありますが、ユニバーサルデザインフードが定める区分とは異なります。
食品ごとに内容は異なりますから、初めて食べる食品の場合は食べる人の状態にあっているかをしっかり確認しながら食べましょう。
▼こちらの記事で「レトルト介護食品の区分 表示の意味と選び方」をご紹介▼
安全に食べるための基本です!
まとめ
今回は介護食と離乳食の違いをまとめました。
離乳食は介護食に比べてエネルギー、たんぱく質、塩分相当量が低いことが分かっていただけたと思います。
主菜として利用することは難しいですが、副菜の1品としてなら十分利用可能です。
食べる人の状態に合わせて、離乳食の月齢なども見ながら使用してみてください。
ドラッグストアなどでも、離乳食の方が品ぞろえが良い場合が多いので、介護食のメニュー作りに悩んだら参考にしてみるのもお勧めですよ!
※逆に離乳食の代わりに介護食を利用するのは味付けや添加物の面からも控えましょう!!
▼ こちらの記事で「レトルト介護食の各社の違いを比較記事」をご紹介しています。▼
栄養士目線で味や食べやすさを解説しています。
▼ こちらの記事で「通販で買える高齢者向け高栄養食品」をご紹介▼
通販の方が断然安く買えますよ!