床ずれ(褥瘡)は「予防」が何より大切です

在宅介護で寝たきりや車いす生活が続くと、心配になることのひとつが『床ずれ(褥瘡:じょくそう)』です。

床ずれは、一度できてしまうと治るまでに時間がかかることも多く、高齢者では重症化しやすい症状でもあります。

しかし、正しい知識を身につけて早めに対策することで、多くは予防できます。

管理栄養士
管理栄養士
病院勤務時代、NST(栄養サポートチーム)の管理栄養士として、褥瘡のある患者さんを数多く担当してきました。
床ずれは「傷の治療」だけでは改善せず、栄養状態も大きく関係します。

この記事では、

  • 床ずれとは何か
  • 初期症状
  • できる原因
  • 家庭でできる予防方法
  • 治療の考え方
  • 管理栄養士が伝えたい栄養のポイント

について、わかりやすく解説します。

床ずれ(褥瘡)とは?

床ずれ(褥瘡)とは、同じ場所に長時間圧力がかかり続けることで、皮膚やその下の組織が傷ついてしまう状態です。

寝たきりの方や車いす生活の方など、自分で体の向きを変えられない方に多くみられます。

はじめは皮膚が赤くなる程度ですが、そのまま放置すると皮膚が破れたり、傷が深くなったりします。

重症になると筋肉や骨まで傷が及び、感染を起こすこともあります。

高齢者
高齢者
赤くなるだけだと思っていました…。

管理栄養士
管理栄養士
「少し赤いだけ」と思っていても、内部では組織が傷んでいることがあります。
だからこそ、早めの発見と予防がとても重要です。

床ずれの初期症状

床ずれは、次のような症状から始まることが多くあります。

赤みが消えない

皮膚が赤くなっていて、軽く押しても白く戻らない状態は初期の床ずれが疑われます。

正常な皮膚であれば、一時的に赤くなっても時間がたつと元に戻ります。

しかし、赤みが続く場合は皮膚への血流が悪くなっているサインです。

皮膚が熱っぽい・硬い

赤くなった部分を触ると、

熱を持っている
・硬くなっている
・反対側より腫れている

ことがあります。

この段階で対処できれば、悪化を防げる可能性が高くなります。

水ぶくれ・傷になる

さらに進行すると、

水ぶくれ
・皮膚がめくれる
・傷になる
・滲出液(浸出液)が出る

などの症状が現れます。

ここまで進行した場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

床ずれができる4つの原因

床ずれは単純に「寝ているから」できるわけではありません。

いくつかの原因が重なることで発生します。

① 長時間同じ姿勢でいる

もっとも大きな原因です。

同じ場所が圧迫され続けることで血流が悪くなり、皮膚へ十分な酸素や栄養が届かなくなります。

② 摩擦・ずれ

ベッドで身体がずれたり、身体を引きずるように移動すると、皮膚に強い摩擦がかかります。

この摩擦が皮膚を傷つけ、床ずれを悪化させる原因になります。

③ 湿気や失禁

汗や尿、便によって皮膚が湿った状態になると、皮膚のバリア機能が低下します。

おむつを使用している方では、皮膚を清潔に保つことも重要な予防になります。

④ 低栄養

管理栄養士として特にお伝えしたいのが低栄養です。

高齢になると、

食事量が減る
・たんぱく質不足
・体重減少
・筋肉量の低下

が起こりやすくなります。

その結果、皮膚や筋肉が薄くなり、床ずれができやすくなるだけでなく、傷も治りにくくなります。

管理栄養士
管理栄養士
床ずれは皮膚の病気と思われがちですが、実際には「栄養状態」が治りやすさを大きく左右します。
病院でも医師・看護師だけでなく、管理栄養士が治療に関わる理由のひとつです。

床ずれができやすい場所

床ずれは、骨が出っ張っていて圧力がかかりやすい場所にできやすい特徴があります。

特に注意したい部位は次のとおりです。

  • 仙骨(お尻)
  • かかと
  • 股関節
  • 肩甲骨
  • 後頭部

なかでも最も多いのが**仙骨(お尻の骨)**です。

寝たきりになると、お尻の筋肉が少しずつ減っていきます。

筋肉が減ることで骨がより出っ張り、寝ている間も体重が集中してしまうため、床ずれが起こりやすくなります

管理栄養士
管理栄養士
体位変換のときは、お尻やかかとに赤みがないか毎回確認する習慣をつけると、早期発見につながります。

家庭でできる床ずれ予防

床ずれは、毎日のちょっとした工夫で予防できることも少なくありません。

① 定期的に体位を変える

同じ姿勢が続くと、一か所に圧力が集中してしまいます。

寝たきりの方は、介護する方が無理のない範囲で体位変換を行いましょう。

また、車いすに座っている時間が長い場合も、姿勢を変えたりクッションを活用したりすることが大切です。

② 皮膚を清潔に保つ

汗や尿、便などで皮膚が湿った状態が続くと、皮膚は傷つきやすくなります。

おむつ交換や清拭をこまめに行い、皮膚を清潔で乾いた状態に保つことを心がけましょう。

③ 床ずれ予防用具を活用する

床ずれ予防マットレスや体圧分散クッションなどを利用することで、皮膚への負担を減らすことができます。

要介護度によっては介護保険でレンタルできる福祉用具もありますので、ケアマネジャーへ相談してみましょう。

④ しっかり栄養を摂る

見落とされがちですが、床ずれ予防には栄養状態も非常に重要です。

十分なエネルギーやたんぱく質が不足すると、皮膚や筋肉が弱くなり、床ずれができやすくなります。

さらに、一度できた傷も治りにくくなってしまいます。

管理栄養士
管理栄養士
床ずれ予防では「圧力を減らすこと」と「栄養状態を整えること」の両方が大切です。

床ずれを見つけたら早めに受診しましょう

床ずれが疑われる場合は、自宅で様子を見続けるのではなく、できるだけ早く医療機関へ相談しましょう。

受診先は、

  • 皮膚科
  • 形成外科
  • 外科

などが一般的です。

病院によっては「褥瘡外来」を設けているところもあります。

赤みが続いている、水ぶくれがある、傷になっている場合は、自己判断せず受診することをおすすめします。

管理栄養士が伝えたい「栄養」のポイント

床ずれの治療では、傷だけを見るのではなく、身体の中から治すための栄養管理も欠かせません。

特に意識したい栄養素は次のとおりです。

  • たんぱく質
  • エネルギー
  • ビタミンC
  • 亜鉛

これらは皮膚や筋肉をつくり、傷の修復を助ける働きがあります。

高齢になると食事量が減りやすく、必要な栄養素を十分に摂れないことも少なくありません。

そのような場合は、栄養補助食品を利用するのもひとつの方法です。

栄養補助食品も上手に活用しましょう

床ずれの予防や改善には、体位変換やスキンケアだけでなく、十分な栄養を摂ることも大切です。

しかし、高齢になると食欲が落ちたり、一度にたくさん食べられなくなったりして、必要な栄養を食事だけで補うことが難しい場合もあります。

そんなときは、高栄養飲料や栄養補助食品を上手に活用することも選択肢のひとつです。

管理栄養士
管理栄養士
栄養補助食品は「食事の代わり」ではなく、足りない栄養を補うためのものです。食事が十分に食べられない時や、低栄養が心配な時に役立ちます。

管理栄養士おすすめの栄養補助食品

メイバランスMini

食欲がない時でも飲みやすい、高齢者向けの高栄養飲料です。

1本125mlで200kcalを補給でき、たんぱく質・ビタミン・ミネラルもバランスよく含まれています。

味の種類も豊富なので、好みに合わせて続けやすいのが魅力です。

👉 こんな方におすすめ

  • 食事量が減ってきた
  • 体重が減ってきた
  • 食欲がない日が多い

エンジョイクリミール

少量でもエネルギーやたんぱく質を補給できる高栄養飲料です。

味の種類が多く、比較的飲みやすいため、病院や介護施設でもよく利用されています。

「メイバランスは少し甘い」と感じる方は、すっきりクリミールもおすすめです。

👉 こんな方におすすめ

  • 甘すぎない味を探している
  • 毎日続けやすい商品を選びたい
  • 食事量が少ない

アバンド

アバンドは、HMB・アルギニン・グルタミンを配合した栄養補助食品です。

病院では、褥瘡(床ずれ)や手術後など、傷の回復をサポートする栄養管理として利用されることがあります。

私も病院勤務時代、NST(栄養サポートチーム)の一員として、褥瘡患者さんへの栄養管理で使用した経験があります。

👉 こんな方におすすめ

  • 褥瘡(床ずれ)がある
  • 傷の治癒をサポートしたい
  • 医師や管理栄養士から勧められた

※アバンドは医療現場でも利用される栄養補助食品です。自己判断ではなく、医師や管理栄養士と相談しながら利用することをおすすめします。

管理栄養士
管理栄養士
床ずれは、体圧分散・スキンケア・栄養管理の3つを組み合わせて予防・改善していくことが大切です。食事だけで十分な栄養が摂れない場合は、栄養補助食品も上手に取り入れてみてくださいね。

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まとめ

床ずれ(褥瘡)は、一度悪化すると治療に時間がかかることも多いため、予防と早期発見がとても重要です。

特に在宅介護では、ご家族が毎日の変化に気づけるかどうかが大きなポイントになります。

  • 赤みが続いていないか確認する
  • 定期的に体位を変える
  • 皮膚を清潔に保つ
  • 栄養状態を整える

この4つを意識するだけでも、床ずれ予防につながります。

管理栄養士
管理栄養士
床ずれは「傷の問題」ではなく、「介護」「栄養」「スキンケア」が組み合わさった症状です。
毎日の小さな変化に気づくことが、ご家族にできる一番の予防になります。

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