「訪問介護」とは、介護福祉士(ケアワーカー)や訪問介護員(ホームヘルパー)が、要支援・要介護の高齢者の自宅を直接訪問して、自宅で自立した日常生活が送れるように生活支援を行うことです。

介護が必要な高齢者がいるご家族にとっては必要不可欠なサービスと言えます。
訪問介護のサービス内容
どんな人が利用できる?
訪問介護サービスは、「要介護1~5」の認定を受けた方が訪問介護サービスを受けることができます。
※介護予防・日常生活支援総合事業の詳細については別記事でまたご説明します。
《介護予防・日常生活支援総合事業》
総合事業は「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」に分かれています。
なるべく介護を必要としない暮らしを続けられるようにすること、介護予防を目的としています。
対象者は、
・要支援者
・65歳以上の高齢者
全国一律の介護保険サービスとは異なり、各市区町村が主体となって行う事業の1つです。
サービスの内容や料金などは各市区町村が独自に設定しています。
サービス内容
訪問介護で受けられるサービス内容は「身体介護」と「生活援助」と「通院等乗降介助」の大きく3種類があります。
身体介護サービス
◆「身体介護サービス」とは、身体に直接触れて行う介護のことをいいます。

【身体介護サービスの具体例】
食事介助:食事の手伝いや見守り支援
入浴介助:お風呂に入る時の身体の洗浄の手伝い
清拭:入浴ができない場合などに体を拭いて清潔にする手伝い
排泄介助:トイレ介助、おむつの交換
歩行介助:自分の足で歩くことができるように散歩などの手伝い
更衣介助:衣類着脱など着替えの手伝い
体位変換:床ずれ予防のためのベッド上の姿勢交換
移乗介助:車いすや車に移す際の手伝い
口腔洗浄:口腔内を清潔に保つための手伝い
※定められた研修過程を修了し、一定条件を満たした訪問介護員であれば、「たんの吸引」なども行うことが可能です。
生活援助サービス
◆「生活援助サービス」とは、生活に必要な家事が困難な場合に行う日常生活支援のことをいいます。
【生活援助サービスの具体例】
掃除:室内の掃除
洗濯:対象者の衣類を洗う、干す、たたむなど
食事準備:対象者の食事の買い物代行、調理、配膳、片づけ
受診手続き:病院の付き添いや薬の受け取り代行など
その他:爪切り・血圧測定・耳垢の除去など医療行為ではないもの
厚生労働省は2016年に、介護保険制度の「要介護1・2」の人の「生活援助サービス」を保険給付から外す方針を示しましたが、これについては見送られ現在も要介護1・2の方も「生活援助サービス」は介護保険内で利用できます。
通院等乗降介助サービス
◆通院等乗降介助サービスとは、指定訪問介護事業所のタクシー(介護タクシー)を利用できるサービスです。
「指定訪問介護事業所のタクシー」とは、ヘルパー2級以上の資格を持つ人が運転するもので、乗車前・乗車後の屋内外での移動等の介助、または、通院先・外出先での受診等の手続き・移動等の介助を受けることができます。
タクシー多くは、車いすなどの使用に特化したものが多いです。
一般的なタクシーのように、自由に利用できるわけではなく、公的機関や金融機関での手続き、通院、日常生活に必要な買い物など、限られた用途のみに適用されます。
訪問介護サービスの利用料金は?
訪問介護の費用 計算方法
1日の訪問介護にかかる費用(自己負担額)は、訪問介護にかかる費用は、
「サービスの種類別料金 × 利用時間 + その他料金(緊急時加算)」
で算出されます。
介護保険の自己負担額は基本的に1割負担です。
(一定の所得以上の方は2割や3割負担の方もいます)
介護サービス費用はサービスの種類や利用時間ごとに単位が決められていて、
1単位10円を基準に計算します。
厚生労働省が定める基準単位は以下の通りです。(1単位=10円)
◆身体介護中心型
・20分未満 165単位
・20分以上30分未満 248単位
・30分以上1時間未満 394単位
・1時間以上1時間30分未満 575単位
以降30分を増すごとに算定 83単位
★続けて「生活援助中心型」を算定する場合
20分から起算して25分増すごとに66単位を加算
198単位に限度
・20分以上45分未満 181単位
・45分以上 223単位
・
◆通院等乗降介助加算
1回につき 97単位
要介護3の利用者(一割負担)が週2回、一日50分の訪問介護サービス(食事や歩行の介助)を利用した場合…。
食事や歩行の介助(身体介護)
30分以上1時間未満は、394単位(3940円)
1割負担額は394円
394円/回×週2回×4週=3,152円
1ヶ月 3,152円利用料金がかかります。
介護サービス支給限度額
介護保険を利用することで、お安く介護サービスを利用できるのですが、介護サービスは要介護度別に利用できるサービスの量(支給限度額)が決まっています。
◆要介護度別支給限度額
要支援1 | 50,320円 |
---|---|
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
間違えて利用してしまったら大変なことになっちゃいそう。
そのあたりは、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)さんとしっかり話し合うことで解決できますよ!
訪問介護サービスを利用する方法
訪問介護サービス利用までの流れ
介護保険によるサービスを利用するには、要介護認定の申請が必要になります。
サービス利用までの大まかな流れは次のようになります。

1.要介護認定の申請
申請には、介護保険被保険者証が必要です。
40~64歳までの人(第2号被保険者)が申請を行なう場合は、医療保険証が必要です。要介護認定申請書に記入のうえ、市町村の担当窓口に申請します。
原則本人が申請しますが、家族や介護保険施設等による申請代行も可能です。
2.認定調査・主治医意見書
市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して、心身の状態を確認するための認定調査を行います。
主治医意見書は市区町村が主治医に依頼をします。
主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要です。
3.審査判定
調査結果及び主治医意見書の一部の項目はコンピューターに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行なわれます。(一次判定)
一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定が行なわれます。(二次判定)
認定は要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれています
4.介護認定の通知
申請日から30日以内に市町村から申請被保険者へ郵送で通知されます。
その際、被保険者証に該当する要介護状態区分が記載されます。
認定は申請日に遡って効力が生じます。
【認定の有効期間】
■新規、変更申請:原則6ヶ月(状態に応じ3~12ヶ月まで設定)
■更新申請:原則12ヶ月(状態に応じ3~24ヶ月まで設定)
※有効期間を経過すると介護サービスが利用できないので、有効期間満了までに認定の更新申請が必要となります。
※身体の状態に変化が生じたときは、有効期間の途中でも、要介護認定の変更の申請をすることができます。
5.介護支援専門員(ケアマネジャー)の決定
要介護1以上の場合は、居宅介護支援事業所にケアマネジャーの選任を依頼します。
居宅介護支援事業所は市町村の担当窓口や地域包括支援センターに紹介を依頼することもできます。
6.訪問調査
ケアマネジャーがご本人のご自宅へ訪問し面談を行います。
ケアマネジャーは、どのサービスをどう利用するか、本人や家族の希望、心身の状態を充分考慮して「介護サービス計画書(ケアプラン)」を作成します。
介護(介護予防)サービスを利用する場合は、この介護計画書の作成が必要不可欠です。
「要介護1」以上の介護サービス計画書は介護支援専門員(ケアマネジャー)のいる、県知事の指定を受けた居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)へ依頼します。
7.事業者の選定と契約
ケアプランに基づき、実際にサービスを受ける訪問介護事業所と直接契約を結びサービスを利用します。
8.訪問介護サービス利用開始
訪問介護サービスが開始されます。
まとめ
大切な家族のための介護。
出来るところまでは、自分の力で頑張りたいと思う方もいるかもしれません。
また、介護されるご家族が利用を拒まれる場合もあるかもしれません。
「そんなことを人様にお願いしたら申し訳ないから」と中々利用させてくれませんでした。
ですが、介護のすべてを自力でこなすのは大変な負担です。
介護者の心の、身体の健康を保つためにも、介護サービスは利用してください。
訪問介護サービスを上手に利用すれば、介護者を支える家族の負担は軽減されます。
介護になれたプロにお願いすることで、介護を受ける高齢者にとってもメリットは大きいです。
介護する側もされる側も、得るものが多いと思います。
ぜひ自治体のサービスを上手く利用しながら、長く続けられる介護の環境づくりをしていきましょう。
介護保険外の訪問介護サービスでも、気軽に利用しやすいものもあります。
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