本日のテーマ
今回は、「認知症」と「物忘れ」の違い、認知症の初期症状の特徴を取り上げるとともに、実際に私の叔母が「認知症」と判定されるまでに見られた初期症状をご紹介します。
認知症とは
認知症は、「脳の病気」です。
記憶や思考などの能力が脳の病気により低下していく障害です。
認知症は加齢が危険因子の1つになるため、年齢とともに誰もが発症するリスクがあります。
アルツハイマー型認知症は認知症の約6割を占めていると言われています。
高齢者の認知症はますます増加
認知症は加齢が危険因子の1つです。
年をとるほど、認知症になりやすくなります。
内閣府が発表している平成29年版高齢社会白書によると、平成24年(2012)は認知症高齢者数が462万人(65歳以上の高齢者の約7人に1人)です。
平成37年(2025)には約5人に1人になると推計されています。
超高齢化社会が進む日本では認知症が今後ますます深刻な問題になってくると考えられています。
「もの忘れ」と「認知症」の違い
「物忘れ」は年齢を重ねてくれば誰しもに現れる現象です。
「物忘れ」と「認知症の症状」を明確に区別することはなかなか難しいです。
2つの大きな違いとして、
◆過去に経験した内容の一部分が思い出せないのではなく、経験したこと自体、全体を忘れてしまう場合
◆今行っている動作の目的や理由を思い出せなくなる場合
は認知症の予兆と考えられます
物忘れ | 認知症 |
経験したことの一部が思い出せない | 経験したこと自体を忘れている |
何を食べたかが思い出せない | 食べたこと自体を忘れている |
約束をうっかり忘れる | 約束したこと自体忘れている |
目の前の人の名前が思い出せない | 目の前の人が誰なのかわからない |
認知症の初期症状
認知症を発症すると、いくつか共通してみられる初期症状があります。
「公益社団法人認知症の人と家族の会」では、認知症の初期症状のめやすが作られていましたのでご紹介します。
◆もの忘れがひどい
□1 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
□2 同じことを何度も言う・問う・する
□3 しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
□4 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う
◆判断・理解力が衰える
□5 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
□6 新しいことが覚えられない
□7 話のつじつまが合わない
□8 テレビ番組の内容が理解できなくなった
◆時間・場所がわからない
□9 約束の日時や場所を間違えるようになった
□10 慣れた道でも迷うことがある
◆人柄が変わる
□11 些細なことで怒りっぽくなった
□12 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
□13 自分の失敗を人のせいにする
□14 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
◆不安感が強い
□15 ひとりになると怖がったり寂しがったりする
□16 外出時、持ち物を何度も確かめる
□17 「頭が変になった」と本人が訴える
◆意欲がなくなる
□18 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
□19 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
□20 ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる
これらは、日常の暮らしの中で、認知症の始まりではないかと思われる言動を、「家族の会」の会員の経験からまとめられたものです。
医学的な診断基準ではありませんが、暮らしの中での目安として参考にしてみると良いと思います。
実際に私の叔母は5つ当てはまることがありました。
いくつか思い当たることがあれば、一応専門家に相談してみることがよいでしょう。
その結果、何でもなければ安心ですし、他の病気が見つかればそれはそれで対応ができます。
体験談 叔母(認知症)の初期症状
私の叔母は現在78歳を過ぎてアルツハイマー型認知症と診断されました。
認知症と診断されるまでにも認知症の初期症状はあったようです。
叔母は一人暮らしをしていました。(隣には義理娘が住んでいてサポートしていました)
現在は施設にて生活しています。
初期症状① 同じことを何度も話す
帰省した際に、会いに行くと叔母は「今はどこに住んでいるの?」「何日に帰るのか?」
30分くらいの会話の中で同じ質問を2回以上してきました。
しかも私が同じ答えを返しても毎回初めて聞いたような顔をしています。
違和感はありましたが、お年寄りの物忘れなんてこんなもんなのかな?と軽く考えて流してしまいました。
初期症状② 怒りっぽい
母と電話で話をすると、最近叔母が怒りっぽくなり聞く耳を持たないという話になりました。
ちょっとしたことでもこだわり、すぐ怒ってしまうから話にならないんだそう。
母は「歳をとるとわがままになって大変だ」と呆れたように話していましたが。
今考えると認知症の初期症状だったのだとわかります。
初期症状③ 自宅へので帰り道がわからなくなる
ある日スーパーに車で出かけた叔母が、帰ってこないという事件がおこりました。
親族一同で探し、警察にもお世話になりました。
出かける場所は把握していましたが、そこでは見つからず。
数時間探してやっと見つかったのは、スーパーとは全くちがう場所でした。
叔母に確認すると
なんだか本人は恥ずかしさもあるのか、ショックを受けるというよりは笑いながら話している感じです。
家族は命に関わることとして、大騒ぎしていましたから温度差というか違和感を感じました。
本人を責めることは出来ず、ここまでくるまで叔母の状態に気付けなかった自分たちを反省しました。
結果的に、このことがキッカケで祖母は認知症の診断治療へと向かい施設で生活する運びとなりました。
見当識障害
叔母のように、散歩や買い物などで外出しても、自宅の場所が思い出せなくなり帰宅できなくなる場合、認知症を発症している確率が高いと言えます。
ひどくなってくると、家の中でもトイレの場所、自分の部屋などを間違えるようになります。
このように日付、時間、場所などが認知できなくなる症状を「見当識障害」といいます。
まとめ
今回は、「認知症」と「物忘れ」の違い、認知症の初期症状の特徴を取り上げるとともに、実際に私の叔母が「認知症」と判定されるまでに見られた初期症状をご紹介しました。
残念ながら、一番多いアルツハイマー病を根本から治療する薬はまだありません。
しかし、最新の治療では早期発見して治療を開始すれば、進行スピードを大幅に遅らせることができるようになってきています。
また、認知症で起こってくる症状も予防できることも増えてきています。
「早期発見・早期治療」は患者さんだけでなく、家族の負担も大幅に軽減してくれる可能性があります。
何か気になることがあれば、できるだけ早く精神科などを受診することが大切です。
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