高齢になると、

食べる量が減った
食事を残すことが増えた
体重が減ってきた

などの変化がみられることがあります。

家族としては、

「今の食事量で足りているのかな?」
「栄養不足になっていないかな?」

と心配になりますよね。

私も病院や高齢者施設で勤務していた頃、ご家族から食事量について相談を受けることがよくありました。

実は、高齢者は食欲の低下や噛む力・飲み込む力の低下などが原因で、気づかないうちに低栄養になってしまうことがあります。

そこで今回は、

高齢者に必要なカロリーの目安
食事量が足りていないサイン
食べられないときの工夫

について管理栄養士の視点からわかりやすく解説します。

結論|食事量は「体重の変化」を目安に考える

高齢者の食事量が足りているかどうかを判断するとき、最もわかりやすい指標は体重です。

しっかり食べているつもりでも、

体重が減っている
筋力が落ちてきた
疲れやすくなった

といった変化がある場合は、必要な栄養が足りていない可能性があります。

反対に、体重が安定していて体調も良好であれば、大きな問題はないことが多いでしょう。

管理栄養士
管理栄養士
まずは食事量だけでなく、体重や体調の変化にも目を向けてみてください。

高齢者に必要なカロリーの目安

必要な食事量は年齢だけでなく、活動量によっても変わります。

一般的には、70歳以上で活動量が少ない高齢者の場合、次のようなエネルギー量が目安になります。

性別 1日の目安
男性 約1,800〜2,000kcal
女性 約1,400〜1,700kcal

※体格や病気の有無によって必要量は異なります。

在宅介護を受けている方や、外出の機会が少ない方は活動量が低いケースが多いため、この範囲をひとつの目安として考えてみましょう。

写真で見る「1食分」の目安

1日に必要なエネルギー量を3食で分けると、

  • 男性:約600kcal前後
  • 女性:約500kcal前後

が1食の目安になります。

数字だけではイメージしにくいですが、定食にすると意外としっかりした量になります。

 

https://www.marukome.co.jp/recipe/special/eiyoshi/menu02/出典:marukomeHP

 

また、ごはん180〜200g程度が1食の目安です。

お粥の場合は水分量が多いため、見た目の量はごはんより多くなります。

管理栄養士
管理栄養士
多くの方が、「こんなに食べられていないかも…」と感じるかもしれません。

実際、食が細くなった高齢者にとって毎食この量を食べるのは簡単ではありません。

だからこそ、食事量が不足していないかを早めに確認することが大切です。

食事量が足りていないサイン

高齢者の場合、栄養不足は体重や体調の変化として現れることがあります。

次のようなサインが見られたら注意しましょう。

 

  • 体重が減ってきた
  • 筋力が落ちた
  • 疲れやすい
  • 食欲が低下した
  • 風邪をひきやすい

ひとつだけで判断する必要はありませんが、複数当てはまる場合は低栄養のリスクが高まります。

 

なぜ高齢者は低栄養になりやすいの?

高齢になると、若い頃と比べて低栄養になりやすくなります。

その理由はひとつではありません。

食欲が低下する

年齢を重ねると活動量が減り、お腹が空きにくくなることがあります。

また、病気や服薬の影響によって食欲が低下することも少なくありません。

その結果、

  • 食事を残すようになった
  • 朝食を食べなくなった
  • 好きなものしか食べなくなった

といった変化がみられることがあります。

噛む力・飲み込む力が低下する

歯の状態や入れ歯の不具合、飲み込む力(嚥下機能)の低下によって食べられる食品が限られてしまうことがあります。

すると、

  • 肉を食べなくなった
  • 野菜を避けるようになった
  • ご飯だけで済ませることが増えた

など、栄養バランスが偏りやすくなります。

調理や買い物が負担になる

一人暮らしや高齢世帯では、

  • 買い物へ行くのが大変
  • 調理が面倒
  • 食べるのは自分だけだから作る気になれない

という理由で食事量が減ってしまうこともあります。

私自身、栄養相談の現場で

「作ることより買い物へ行くのが大変」

という声を何度も聞いてきました。

食事量の低下は、こうした生活環境とも深く関係しています。

食事量が少ないときの工夫

食事量が減ってきたからといって、無理にたくさん食べる必要はありません。

大切なのは「少ない量でも栄養を確保すること」です。

まずはたんぱく質を意識する

筋肉を維持するためには、たんぱく質が欠かせません。

例えば、

  • 豆腐
  • ヨーグルト
  • 牛乳

などを毎食少しずつ取り入れるようにしましょう。

ご飯ばかりになってしまうと、エネルギーは摂れても筋肉の材料が不足してしまいます。

間食を活用する

食事で食べられない場合は、間食を利用するのもおすすめです。

例えば、

  • プリン
  • ヨーグルト
  • チーズ
  • バナナ
  • カステラ
  • 栄養補助食品

などは比較的食べやすく、エネルギー補給にも役立ちます。

「3食で足りなければ間食で補う」

という考え方でも問題ありません。

いろいろな食品を食べることも大切

食事量が減ると、エネルギーやたんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルも不足しやすくなります。

肉や魚、卵だけでなく、野菜や果物、乳製品なども無理のない範囲で取り入れましょう。

特定の食品だけに偏らず、さまざまな食品を食べることが健康維持につながります。

食事だけで足りないときは栄養補助食品も活用する

食事量が少なく、体重減少が続いている場合は栄養補助食品を活用する方法もあります。

病院や高齢者施設でも利用されている高栄養食品には、

・メイプロテイン

・エンシュア

・メイバランス

などがあります。

特にメイプロテインは、普段の食事に混ぜるだけでたんぱく質や亜鉛・鉄・カルシウムを補いやすい栄養補助食品です。
味を大
きく変えにくいため、食事量が減っている方にも取り入れやすい食品です。

レトルト介護食や宅配サービスを活用する

毎日手作りにこだわる必要はありません。

最近は、

  • レトルト介護食
  • 冷凍介護食
  • 高齢者向け宅配弁当

なども充実しています。

介護を続けるためには、介護する側が無理をしないことも大切です。

上手に市販品を活用しながら栄養を確保しましょう。

体重減少は要注意

高齢者の場合、

「年を取ったから痩せるのは当たり前」

と思われがちです。

しかし、体重減少は低栄養のサインであることも少なくありません。

特に、

  • 半年で2〜3kg以上減った
  • ズボンや服がゆるくなった
  • 頬がこけてきた
  • 筋肉が落ちた

と感じる場合は注意が必要です。

体重の変化は、自宅でも確認できる大切な健康指標です。

週に1回程度でもよいので体重を記録しておくことをおすすめします。

管理栄養士からひとこと

介護をしていると、

「食べる量が減ってきた」

「何を出しても残してしまう」

と不安になることがあると思います。

でも、高齢になると若い頃と同じ量を食べられなくなるのは自然なことです。

大切なのは食べた量だけを見るのではなく、

  • 体重は維持できているか
  • 元気に過ごせているか
  • 筋力は保てているか

という視点で考えることです。

私自身、病院や高齢者施設で多くの方と関わってきましたが、少しの工夫で食事量が増えたり、体重が安定したりするケースをたくさん見てきました。

無理に食べさせようとするよりも、その方が食べやすい方法を見つけることが大切です。

まとめ

高齢者の食事量が足りているかどうかは、食べた量だけでは判断できません。

大切なのは、

  • 体重が維持できているか
  • 低栄養のサインが出ていないか
  • 必要な栄養が摂れているか

を確認することです。

食事量が少なくても、

  • たんぱく質を意識する
  • 間食を活用する
  • 市販の介護食を利用する

などの工夫によって栄養を補うことができます。

「最近食べる量が減ったかも」と感じたら、まずは体重や食事内容を振り返ってみましょう。

早めに気づくことが、低栄養予防の第一歩です。

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